【文スト】salvation of a saint Ⅱ (ページ45)

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選択権ページ45

「人遣いの荒い奴だぜ！」

太宰は丸腰のままラヴクラフトの元へ歩いていく

「(敵……排除して……帰る)」

ラヴクラフトの触手が太宰へと向かう

とその瞬間太宰は屈み背後から中原が現れた

そして中原は触手の上を駆け抜けラヴクラフトへ打撃を入れた

「重力操作」

「！」

ラヴクラフトの体に重力がのしかかる

「体が……重……」

骨の軋む音と共に地面にめり込むラヴクラフト

「俺の異能は触れたモノの重力を操作する其の侭朝までへばりついてな」

「凄い……」

太宰との連携中原の異能にAは圧倒されていた

「御見事」

「ったく……人を牧羊犬みてぇに顎で使いやがって」

「牧羊犬が居たら使うのだけど居ないから中也で代用するしかなくてね」

「手前……」

どこまでも中原を煽る太宰にAは

先刻の感動を返して欲しい

と考えた

「手前は性根の腐敗が全身に回って死ね！」

「中也は帽子に意識を乗っ取られて死ねば？」

「いつまで喧嘩してるんですか」

「眠い…… 面倒臭い…… だが…… フィッツジェラルド君との契約は……果たさねば……」

ザッ

音と共に太宰の片腕が消え木に投げ飛ばされる

中原とAが顔を上げた先にはまさに化け物としか言いようの無いモノが立っていた

「おいおい……こりゃ本気でどういう冗談だよ……？」

Aは太宰の元へと走る

中原もその後に続いた

カタカタと震えるA

中原は太宰の姿を見て衝撃を受ける

「太宰……腕が」

「中也……Aちゃん……死ぬ前に……聞いて欲しい事が……」

「な……っ何云ってやがる！手前がこんな処で……」

すると「ばぁ」という声と共に太宰の破けた服から腕が出る

中原は太宰の胸ぐらを掴む

「怪我の身で戦場に出るならこの程度の仕込みは当然だよ」

すると横から実弾が飛んできた

「……今度やったら本気で当てます」

「ハイ」

太宰の背後の木には穴が開いていた

「手品してる暇があったらあの悪夢をどうにかする作戦を考えろ！」

中原は怒りながら先程の化け物を指す

「いやぁ無理無理諦めて死のう！もう残った手は「一つしか無い」しね！」

太宰は笑顔を見せる

「そんな…」

絶望をするAの横で中原は何かを察した

「一つって……『汚濁』をやる気か？」

『汚濁』…？

「私達二人が"双黒"なんて呼ばれ出したのは『汚濁』を使い一晩で敵対組織を建物ごと壊滅させた日からだただし私の援護が遅れれば中也が死ぬ」

ー選択は任せるよー