らしくないその子 ページ38
らっだぁside
「ふふ、えっとね、その人たち、話を聞いているだけでも面白そうな人たちなんだもの。私、その…あまり友達がいないから。幼なじみとか…羨ましくて」
その言葉に、俺の頭はフリーズした。
横ではレウが愉快そうに口を歪めてAを眺めていて心底気持ち悪いとさえ思う。
…むかつく。
今は俺たちといるのに。俺と、いるのに。
Aはあったことも無いきょーさんたちの方が気になるって言いたいわけ？
友達一日目の俺を差し置いて、友達未満のアイツらに羨ましいだなんて。
まだ日もたってない、遊びにだってもちろん行ったことがない。そんな俺を！差し置いて！
その一日目の俺が言うのもなんだと思うが、今のAはなんだか暗くて、朝の様子と似てるようで違って、まるで別人のように見える。
放課後遅くなったのと何か関係があるのか？
…でも、だとしても。それとこれとは話が違う！
俺らしくない考えが渦巻いて、あーもう！と、その勢いで気づけばAの頬を挟んでこちらに向けていた。
「俺今日友達になったばっかなのに！！」
「幼なじみが羨ましいとかなんとか…暗すぎ！昼間との落差ありすぎて凍えるんですけど！！」
考え無しに言葉をぶつける。
こんなに声を張るなんて、俺らしくない。
こんなに気持ちがぐちゃぐちゃになるなんて、もっと俺らしくない。
らしくないだらけで、なんだか変な気分だ。
Aとレウは鳩が豆鉄砲食らったような顔をしていて、それを見るだけで笑いそうになる。
とにかく、とさらに続ける。
「羨ましいとか、そういうの考えないくらいこれから楽しめば良いんだよ。」
「…ふふ。うん、そうだよね。」
Aの顔からは先程まであった陰りがなくなっていて、今朝のような顔に戻っていた。
「過去を振り返るな〜！」
「これから、周りに羨ましいって思われるくらい俺らと遊んで、バカして、色んなことしよ。Aがそんなこと忘れるくらい楽しもうよ」
レウがそう言ってAの頭を撫でる。
ことある事に撫でるけど、そんなに撫で心地がいいのか？
Aは素っ頓狂な顔をしたあと、笑みが浮かんだ柔らかい顔になる。
「…うん。えへへ、ごめんなさい。色々考えすぎちゃったみたい。でも、もう大丈夫だよ。」
ふっきれた！と伸びをするAが気まぐれな猫みたいで、おかしくて笑ってしまう。
帰り道がやけに短く感じた。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 568人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ハク - 軍パロとか見てみたい､、煮干し受け取ってくれたら嬉しいです、、、 (2023年5月3日 7時) (
レス) @page40 id: b87c231ef8 (このIDを非表示/違反報告)
社(プロフ) - ポキ男さん» これからはniさんの受難が増えていきます…笑 コメントありがとうございます！ (2023年5月1日 21時) (レス) @page40 id: 573037bf60 (このIDを非表示/違反報告)
ポキ男 - niさんの「ああ、、、アーメン、、」がすごい好き、、、 (2023年4月18日 4時) (レス) @page19 id: 9d80ea5bad (このIDを非表示/違反報告)
社(プロフ) - ななさん» ！！？？？！！ごめんなさい今気づきました…！！2つ試作していたのが片方非公開になってなかったみたいです。すみません、御指摘ありがとうございます！ (2023年4月16日 10時) (レス) id: 573037bf60 (このIDを非表示/違反報告)
社(プロフ) - ユキさん» わ〜！嬉しいです！更新が遅いですが、どうぞよろしくお願いします。ありがとうございます！ (2023年4月16日 10時) (レス) id: 573037bf60 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：社 | 作成日時：2022年9月4日 15時
