ヒーローのち恋人 2 ページ35
「ひゃあっ!」
と小さく叫んでしまったが、びっくりしただけで全然嫌ではなかった。
「A。 好きだ。」
「っ!!」
「やはり兄では嫌だ。 他の男よりもAの近くにいたい。」
気付けば私は涙を流していた。
そんなに嫌だったのかと焦るバスコに、私は泣きながらも頑張って話した。
「違うの…だって…私っ さっきので…
呆れられたかなって…
それに私はもう…こ、こんな汚い体だし…
正義のヒーローみたいに真っ直ぐなバスコに…
ふさわしくないって…思っててっ…
自分の本当の気持ちも…見ないようにして…
でも…
でもっ」
涙をふいて、俯いていた顔を上げる。
「私もっ …す、好きぃー」
言いながらまた泣いてしまった。
「難しい事はわからんが、俺はAの全部が大好きだ。
過去にAが悲しむ時は俺が支える。
これからは俺が守るって言っただろう。
ふさわしいかどうかは俺もわからん。
だが一緒にいたい。
誰にも隣を渡したくない。
これは付き合う理由にはならないのか?」
ふるふると首を横に振り涙ながらにありがとうと言う私に、
頬に手を当て親指で涙を拭ってくれた。
ん、と声が零れ、反射的に目を瞑った。
次に目を開いた時、バスコはちょっとだけ目を見開いていた様に見えた。
「A…。」
そのまま手を後頭部に移動され、唇には柔らかい感触を感じた。
唇と唇が触れ合うだけのキス。
彼はまだ離れる気配はなく、 再度私の顔に影を落としてきた。
このままもう1度…
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作者名:まんちかん | 作成日時:2021年2月3日 17時