184話だ ページ38
数十分経った頃には涙もおさまり気持ちも落ち着いてきた。
そして込み上げてくるは恭弥に対しての恋情。
好き。大好き。…もう避けたり逃げたりしない。
私を離そうとする恭弥。けれど逆に私は恭弥にひっついた。
だって離れたくない。そばにいたい。
恭弥の制服を握りしめる私はぐりぐりと頭を擦り付ける。
「朔。何して……っ」
くすぐったいのか身じろぐ恭弥にクスクスと笑う。
くんっ。と嗅げば恭弥の家が使っている柔軟剤と恭弥の体臭の香りがする。
あーやばい……彼の香りに落ち着くと同時に変態度が増したかもしれん。
「……なあ恭弥」
名を呼べば恭弥は「何」と返事をくれる。
それが嬉しくて思わずにへらっと笑ってしまった。
「好き。大好き」
「……っ」
こーゆーのを世の中じゃバカップルっていうんだろうなぁ。けどバカップルでもいいや。むしろ上等!!
「だからこれからもそばにいてくれよ」
「……朔は仕方ない子だからね」
なんだよ。仕方ない子って。
ムッとすると同時に私はふいにあることを思いついた。それは恭弥もきっと驚くことだ。
私は残っているチョコクッキーを手に取ると口の中に入れた。
サクサクと一、二度噛んだから恭弥の胸ぐらを掴みキスをした。
いきなりのことでビクリと体を震わす恭弥に私は何も言わずに舌で恭弥の口に噛み砕いたクッキーを押し入れる。
全部相手の口に押し入れ終わった私はぷはっと口を離せば少し頰の赤い恭弥が視界に映った。
いつもすました顔でやってくれるからな、こいつは。
なので不意打ちでキスして口移しでやってやった。
さぞかし恭弥は驚くだろうなぁ……なんて考えているとピタッと恭弥が止まっていることに気付く。
その手には紙があり、どうやら紙に書いてある文字を見たらしい。
……なんて書いてあったんだろう?
私は横から覗いてみると【大好きです】という文字があった。
……うん。まあ大好きなのは事実なんだけども…
何故恭弥、固まるんだ!??
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作者名:ゆっくりノワール×夜野兎 x他1人 | 作成日時:2017年12月3日 16時