5 「ソレ」 ページ5
私が初めて「ソレ」を見たのは 物心つく前だった
小さい私には それは「生きている人間」と同じモノで
つい手を振って笑ったりしていた
体が半分透けて、軍服を着た、頬に傷のある20代くらいの男性
私が彼に笑うと 彼はすっと片手を伸ばす
触れることがない手のひらで 私の頭をなでるようなしぐさ
頬をぷにぷにと つつくそぶりも時々見せる
それに私がケラケラと笑うと 男も嬉しそうに笑った気がした
両親は「何か見えているのかしら？」と小さいころには 何も言ってはこなかった
だが だんだん自分が大きくなるにつれ 両親や周りに気味悪がられる
「見えないソレを見るな」とか「嘘をつくな」とか色々言われるようになる
「嘘をつく子は反省しなさい」と押し入れに閉じ込められたりもしたが
「ソレ」がずっと近くにいてくれたので その当時は怖いとも思わなかった
ソレが私に危害を加えたことはなかったから・・・
だが、事件は起こった
小学校に上がるころになると 両親が私のせいも多少あり離婚した
私は父方に預けられた
もともと短期だった父親に 何度も叩かれるようになった
そして父親が私を叩きながら ある言葉を私に叫んだ
「お前など 産まれなければよかったんだ！！」
ポキッ
瞬間、私を叩いていた父親の腕が突然折れた
悲鳴をあげる父親に 自分は何が起こったのかわからなかった
痛がる父親に近づくと 父親に恐怖の目で見られた
そのまま突き飛ばされる
「あ・・ 悪魔っ！！！」
「！」
瞬間、父親の背後に 影が見えた
いつもは ぼやけているソレの姿が鮮明に映し出され、そして・・・
ガスっ！！
ソレは父親の頭を踏みつけていた
それから 私は父親とも疎遠となった
母も私を引き取る事を拒否し、母方のおばあちゃんが私を預かってくれた
その頃にはもう私は「ソレ」について 周りに言わなくなった
見えていても無視をするようになった
小さい頃は 私に触れれることもできなかったそれは 私と同じく成長しているのか
人の腕を折るまでに力をつけていた
私は必死にソレから距離をとるように努めた
そして普通の子供のように クラスの子たちと仲良くなろうとした
アレは存在しない
私が勝手に作り出したものだ
消えて 消えて −−−
しかし「ソレ」は自分に構ってもらおうとするかのように
今までになかった行動をするようになり、行動が逆にエスカレートしていった
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 81人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ソラノ(プロフ) - とりあえず 11月から 日常編？のような感じでかけたら幸いです (2019年10月31日 2時) (
レス) id: 0026594e4c (このIDを非表示/違反報告)
ロア(プロフ) - ソラノさん» いえいえ、前作の人魚のお話から読んできましたがとても楽しみに見させて貰ってます(*´▽｀*)お体に無理の無いようにお過ごしくださいね！ (2019年10月25日 2時) (レス) id: 148e7f1d83 (このIDを非表示/違反報告)
ソラノ(プロフ) - Σ は、反応があった！！！ 有難うございます！！！ とりあえず出会い編はそろそろ終わらせて 前世へ主人公の意識が飛ぶ話とか、同棲してからの話しとかそろそろ展開変えたないなぁ〜とか思ってます！ 有難うございます！！！ (2019年10月24日 0時) (レス) id: 0026594e4c (このIDを非表示/違反報告)
ロア(プロフ) - ソラノさん» 楽しみに読んでますよ(*´∇｀) (2019年10月20日 15時) (レス) id: 148e7f1d83 (このIDを非表示/違反報告)
ソラノ(プロフ) - （あ、ちなみにツイッター ネームは 「ソラ」です。すいません） (2019年6月25日 0時) (レス) id: 88162d403a (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：ソラノ | 作成日時：2019年4月8日 4時
