私と貴方と霊な貴方【ゴールデンカムイ（尾形）】

8　ずっと見てきた（霊尾形視点　↓） ページ8

お前を見つけたとき 相変わらず思い通りにならない女だと
　憎々しく思ったことを覚えている



布団の上で家族に見守られながら きゃっきゃと笑う赤ん坊を見つけた

すぐに”お前”だとわかった

何年も魂だけでさまよい続け やっとお前を見つけられたと思った


だが・・・


　 ”・・・・・”


俺の姿が見えているのか お前はじっと俺を見つめる

そっとお前の頬に手を伸ばす

魂だけの俺の手は お前の頬をすり抜ける



　お前が死んでから 何年たったのだろうか？

　俺の魂はどれだけ さまよったのだろうか？


　もうあまり生きていたころの記憶はない

　だがお前の事は覚えている


　 ”A”


お前は最期 俺に笑いかけた
こんな俺に・・・ お前は最期、笑った


　お前の体温が失われていく

　 なすすべのない自分の体


　もう笑わないお前の頬に手を添えた

　 お前はもう反応しない


目の前で きゃっきゃと無邪気に笑う、生まれかわったお前を見つめる

肉体をもったお前を憎々しく思う


　 触レレナイ 触レレナイ −−−


　 ”マタ 俺ダケガ 取リ残サレル ”


そして 思う



　 ”早ク 死ネ”



俺と”同じ”になれば またお前に触れれると考えた

そう言って笑っている俺に お前はつられたように笑った


　その顔をみると ひどく悲しい気分になった



　 ああ・・・ また俺は・・・



　 ” 同ジコトヲ 繰リ返スノカ ”




それから俺はお前にとり憑くようになった
お前をずっと傍で見続けた

だが俺はいつも お前の傍にいられるわけではないようだった

魂だけの俺と 肉体のあるお前とでは 時間軸が違うようで
気が付くとお前の服が変わっていたり、いつの間にか朝になっていることもあった

触れれることのない お前の頬に手を伸ばす
ぷにぷにとしたお前の頬を想像し 頬をつつく
笑うお前に 自然と笑みがこぼれるようになった


　無邪気に俺に笑うお前を見ていると 俺の魂は少し浄化されるような錯覚を覚えた


そして時がたち、お前は両親に俺の事を とがめられるようになる
お前が襖に閉じこめられても 寂しくないよう傍にいた
お前の横に俺は座ると お前は安心したように眠りについた


　再び俺の心は癒される

　お前の寝顔を見て早く死ねとも思うのに 守ってやりたいという気持ちも生まれていた



しかし、再び時がたち お前の両親が離婚する
お前の父親がお前に手をあげる回数が増えていった

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