★短編★人魚尾形にしつこく海にひきずりこまれます【ゴールデンカムイ】

雪 ページ18

雪が降ってきた
今日から積もるなと思い これからより寒くなるのかと身を震わせた

ちゃんと冬に備えて 食料は蓄えているし、山から木々も拾ってきてある
大雪になって 家から出られなくても 備えはちゃんとしてあった

その支度のせいで最近海にいられる時間が減り、尾形さんに不満そうに
見つめられていたが こちらにも生活があるのだ

「・・・と、いうわけで 雪が積もりそうなので しばらくは家に来ないでくださいね」

「は？」

突然の私の発言に 目の前の人魚は さも「何を言っている？」という顔をする

・・・少し考えればわかりますよね？

雪が積もった上を人魚が這ってきたら その痕跡で さすがに村の人に
「何この痕？」と「もしかして 人魚？」って気づかれかねませんよね？

　鱗なんて落ちていたら 完璧アウトじゃないですか！！

「ご自分の命にもかかわるんですから、我慢くらいできますよね？
　というか 私自身 毎日来るなって言ってるつもりなんですけど・・・
　さすがに雪の痕を消す手間なんてかけたくないので

　雪の間は 家に来ないでください！ わかりますよね？？？」

私は強い口調で言うと 冬用の薪を背負い 家に帰ろうとする
人魚はこの寒い中 海の中にいて 本当よく平気だなと思う

　 人間なら風邪をひく寒さだと思う

尾形さん曰く 海底は潮の流れによっては暖かいというが、水面は冷たいはずだ

「じゃ」とそのまま家に帰ろうとした
しかし ガシッと左腕をつかまれた
いつのまに私との距離を詰めたのか そのまま正面を向かされ、
両腕を彼の手で包み込まれる

「俺を 捨てるのか？」

「・・・は？」

何を言っているのかと 彼の言葉を一瞬理解できなかった

　捨てる・・・？ は？？？

　 拾った覚えもありませんが？？？

「こんな寒い海に俺を放置か？ ひどいじゃないか。

　今日はお前の家に俺を入れてはくれないのか？

　お前の布団で お前と一緒に寝られるのなら

　 ”お前の村くらい滅ぼしても構わない”」

「いや、滅ぼさないでください。 何言ってんだ このヤロウ？！

　 そんなことしたら 怒るどころか 絶交です！」

彼の真顔の言葉に つい冷たく言い返す

本気でやりかねない目の前の人魚に 少し冷や汗もでる

「昼間は遊びにこれそうなら来ますから、雪の時くらいガマンしてくださいよ」

そう言って彼の手を振りほどくと 今度は後ろから腰にまとわりつかれた


　・・・この人魚・・・ 面倒くさい

　↑　（2）→←　↑　（3）

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す