１４５話 ページ3
ベチャッ
のっぺら坊が撃たれ、血が地面に飛び散る。
(え……今、撃たれた……？)
撃たれることは知っていたが、あまりにもあっさりとのっぺら坊が撃たれ、思考が追い付かない。すぐに杉元がのっぺら坊を盾にするが、
シュパァッ
額を撃ち抜かれる。目の前で男二人が倒れ、私は思考を高速で回転させる。
(のっぺら坊が撃たれてから杉元が撃たれたタイムラグ……のっぺら坊は無理だったけど、杉元はまだ生きてるから、私のすることは……)
私は二人の後ろの襟を持ち、狙撃の死角になる建物へ投げる。
(あとは私も建物へ……)
シュパァッ
「いﾞ……ッ！」
銃弾が体を貫き、その場に倒れる。
(まあ、私が撃たれないなんて保証はどこにも無いからな……少し油断してた)
やけに冷静な自分を鼻で笑う。素早く立ち上がり、もう一度建物へ近づく。
バチッ
足元すれすれに着弾する。
(危な……って、なんかこの状況、茨戸でもあったな)
前は建物の影からだったけど。銃声のした方に向かって銃を構える。あちらが当てられる距離に居るのだ、私の銃の弾が当たらないわけがない。
(なんで私に当てないんだ……？)
最初の一発以降、私の体には銃弾が当たっていない。狙撃においてヘマをするようなヤツでは無いし、狙っているようにしか思えない。
(そんなことより、そろそろ視界が……)
止血もしていないので、血が腹部から流れ続けている。
「Aッ」
いつ来たのか、谷垣が壁を背にして私に手を伸ばす。それを尾形が見逃す筈もなく、谷垣の腕が撃たれる。装填時のタイムラグを感じ、谷垣の手を掴んでそのまま建物へ引っ張られる。
周辺の煙が濃くなる。狙撃されるの可能性が低くなったと考え、杉元とのっぺら坊を正門まで運ぶ。
(やばい、なんか視界が揺れて……喉の奥、鉄臭い……)
運んでいる途中、何度も足がふらつく。
谷垣が門を押し、外へ出ると同時に私も外へ出る。
「インカラマッ!？」
近くで発せられた叫び声が耳に響く。ゆっくりとのっぺら坊を下ろし、私も地面に膝をつく。
「うﾞッ……ゲボッ」
バシャッ
口の中で押さえていたぬるりとした血が、咳と一緒に出る。後ろから足跡が聞こえ、虚ろな目で振り返る。しかし姿を確認する前に、私の意識は途切れた。
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華洛 - いちにちでよみきってしまいました！すごく面白かったです！更新待ち続けます！ (2022年5月19日 23時) (
レス) @page34 id: 9cd2997260 (このIDを非表示/違反報告)
冬華(プロフ) - 更新待ってマス！！ (2022年3月24日 22時) (レス) @page34 id: df15541a66 (このIDを非表示/違反報告)
名無し95348号(プロフ) - とても面白くて一気に読んでしまいました！更新待っています！！！！ (2020年9月22日 7時) (レス) id: ca8cd08e4b (このIDを非表示/違反報告)
マリンバ - めっちゃ好きです！(唐突)大変だとは思いますが、更新頑張ってください！ (2020年3月19日 15時) (レス) id: dd11928539 (このIDを非表示/違反報告)
境 - このお話好きになってしまいました！！！！更新頑張って下さい！！応援してます！！！！！！ (2020年1月17日 21時) (レス) id: 7788c7aee9 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：海豹 | 作成日時：2019年2月17日 1時
