１５９話 ページ18
「杉元こそ、今なら鬼も逃げ出しそうなくらい怖い顔してるよ」
軽いノリで言おうとしたのに、喧嘩腰な低い声が出た。
「俺がアシリパさんと一緒にいる時、いつもAは少し後ろにいた」
二人の会話が生で聴けるのなら、私は加わらなくてもいい。そう思っただけなんだが。
「俺がいても、親友なら側にいてやれよ。居なくなってからじゃ遅えんだから」
握られた手首に、更に力が入る。
(居なくなってからじゃ遅え、か)
私の手首を握った杉元の手に触れる。
「私は、相棒っていう立ち位置が羨ましいよ」
推しと出会い、更に親友になれたのに、私はどれだけ独占欲が強いのか。
(ぶっちゃけ、アシリパちゃんだけが私の心の拠り所だったのかもしれない)
杉元の手の力が弱まり、その隙にゆっくりと自分の手を引く。
「アシリパちゃんに依存してたのかもね、私。」
この世界で生活していくうちに、段々とここが��漫画の話��ではないと思えてきた。いろいろ漫画と同じだが、みんな生身の人間で、ちゃんと��今��を生きている。
(じいちゃん、母さんも父さんも、見たことがない私の本当の両親も、もう居ない)
手首の赤くなった跡に、優しく触れる。
「一人でいるのが寂しい」
いつから、こんなに精神年齢が低くなったんだろう。手の甲に一粒、水滴が落ちる。頬に手を当て、自分が泣いているのに気がつく。
「俺はアシリパさんのかわりになるつもりはねえ。出来るはず無いからな」
素っ気なくそう言うと、杉元は椅子から立ち上がる。
ギュッ
「だけどお前が泣いてると俺の胸が痛いから、このくらいならいつでもしてやる」
優しく、包み込むように抱きしめられる。
(………あったかい)
体温もそうだが、胸の奥がほんわかしていく。
「今後絶対に使わないようにするわ」
「好きにしろ……」
今度は照れたように素っ気なく返され、私の口から笑みがこぼれた。
杉元が病室から出て行き、未だに赤い跡が残る手首を触る。
「……ありがとう」
- 金 運: ★☆☆☆☆
- 恋愛運: ★★★☆☆
- 健康運: ★★★★★
- 全体運: ★★★☆☆
ラッキーアイテム
革ベルト
ラッキーカラー
あずきいろ
おみくじ
おみくじ結果は「末凶」でした！
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 325人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
華洛 - いちにちでよみきってしまいました！すごく面白かったです！更新待ち続けます！ (2022年5月19日 23時) (
レス) @page34 id: 9cd2997260 (このIDを非表示/違反報告)
冬華(プロフ) - 更新待ってマス！！ (2022年3月24日 22時) (レス) @page34 id: df15541a66 (このIDを非表示/違反報告)
名無し95348号(プロフ) - とても面白くて一気に読んでしまいました！更新待っています！！！！ (2020年9月22日 7時) (レス) id: ca8cd08e4b (このIDを非表示/違反報告)
マリンバ - めっちゃ好きです！(唐突)大変だとは思いますが、更新頑張ってください！ (2020年3月19日 15時) (レス) id: dd11928539 (このIDを非表示/違反報告)
境 - このお話好きになってしまいました！！！！更新頑張って下さい！！応援してます！！！！！！ (2020年1月17日 21時) (レス) id: 7788c7aee9 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：海豹 | 作成日時：2019年2月17日 1時
