だれのものにもならないで (ページ32)

今日:12 hit、昨日:0 hit、合計:23,901 hit

31 ページ32

・

SIDE 町田

急いで家に帰ってシャワーを浴びると、
超特急でリンクに向かった。

今日の練習は早めに切り上げたいと
コーチに頼み込んで、練習をはじめた。

Aちゃんとの食事が楽しみだった。
彼女とはふたりきり以外で
会ったことがないはずなのだが、
それでもやっぱり楽しみだった。

｢たーつきくん！｣

すこし休憩しようとおもって
リンクサイドでやすんでいると、
にやにやしながら結弦が寄って来た。

｢結弦、どうしたの？｣

目をキラキラさせている彼をみて、
すこし怖いなとおもいながらそう聞く。

｢え、どうしたのじゃないでしょ｣
｢え、なにが？｣
｢もう！例の歌の子とはどうなったの？｣

あ、そういえば、結弦が
この気持ちに気づかせてくれたんだっけ。

｢まあまあかな、今日、ご飯いく｣

そう答えると、結弦が目に見えて
羨ましそうな恨めしそうな顔をする。

｢いいないいなあ！！｣
｢結弦も誘ってみればいいじゃん｣
｢まあ、俺も今度勉強会するんだけどね｣

べ、勉強会…なんていう青春の響き…！

嬉しそうな結弦の顔をみてると、
こっちまですこし嬉しくなってくる。

.