第51話 ページ2
―乙骨憂太視点―
『憂太くん』
地面に膝を付いたまま座り込んでいる僕に優しい声がそっと届く
その声の主は、顔を見なくたって誰の物かなんて判別できる
『憂太君、これ使ってください』
その声の主はもう一度僕の名前を呼ぶと僕の目の前に何か出してきた
「これ…」
差し出された物に目をやりそっと呟く
細く白い手とその手に握られていた女性物のハンカチだった
その手の伸びている先に目を向けると僕の目線に会わせるように屈んで座っているA先生の姿があった
『どうぞ』
それだけ言って優しく微笑んでくれるA先生
この顔…あの時と一緒だ！
僕はA先生のその姿に初日に僕を呪術高専へと誘ってくれた時の姿を重ねる
「ありがとう、ございます」
僕はそれを受け取るとそのハンカチで涙を拭う
その間もA先生は何も言わずにただ微笑んで隣にいてくれる
里香ちゃん…
今度こそ僕は―
”「それとね、今度はちゃんと
特別な人を守って救えるようになるから！
「A先生！」
『はっ、はい！』
ハンカチで拭っていた顔を上げると僕はA先生の方へと顔を向ける
急に僕が大きな声で先生の名前を呼んだからか、驚いたような顔で僕を見つめ返してくれる
「僕はまだ、生徒だし…頼りないところもたくさんあると思うけど…」
里香ちゃん、ちゃんと見守ってて欲しい…！
「こ、今度は…ぼ、僕に…」
頑張って伝えるから！！
「せ、先生を救わせてください！！…と、特別、だから…」
い、言えた…！
若干勢いに任せた感はあったし、最後の方は小声で独り言のようになっちゃったけど
頑張って言えたよ！里香ちゃん！！
『憂太君』
言い切ったことに満足してる僕にもう一度、A先生が僕の名前を呼ぶ声がして
達成感に浸っていた僕は一気に緊張感に包まれる
うぅっ…今更ながら凄くドキドキする…
『とっても嬉しいです！』
緊張で限界を迎えそうな僕に、とどめと言わんばかりにA先生の笑顔が僕の目の前一面に広がる
『私にとっても、優太君は特別ですよ！』
えっ…うそ…本当に？
えぇ…！！本当に本当！！？
頭の中はパニックになり顔には体中の熱が集中する
どうしよう、体と頭が今の状況についていけない！！
初めての経験に戸惑って声が上手く出せないよ！！
里香ちゃん！！聞こえてる！？
僕、早速―
『悟君も、真希ちゃんもパンダ君も棘君も！皆私の特別ですよ！』
え……
「えぇーーっ！！！！」
僕の叫び声が今までにないくらいに周りに響いたのは言うまでもなかった
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エラ(プロフ) - 弓月有無％さん» コメント頂きありがとうございます！最後まで読んでくださり、大変嬉しく思います！その上、感動して頂けたみたいで作品を作って良かったと思いました。現在、本編の更新が止まっておりますが、いずれ再開させたいと考えておりますのでお待ち頂ければ幸いです！ (4月8日 0時) (
レス) id: d4d4c93c1f (このIDを非表示/違反報告)
弓月有無％(プロフ) - 完結おめでとう御座います！！本当に凄く感動しました！面白かったです！あとがきの通り原作もリスペクト?されていて、流れも上手いなと思いました！此方から知ったので本編の方も楽しく読ませて頂きます！これからも応援しております〜！コメント失礼いたしました (3月28日 19時) (レス) @page7 id: 1ab55170b6 (このIDを非表示/違反報告)
エラ(プロフ) - ベルギーチョコさん» ご指摘ありがとうございました！気付かず忘れていたので助かりました。 (2022年4月13日 9時) (レス) id: d4d4c93c1f (このIDを非表示/違反報告)
ベルギーチョコ(プロフ) - オリフラ立っちゃってますよ〜 (2022年4月13日 7時) (レス) id: 6938e81241 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：エラ | 作成日時：2022年4月13日 0時
