変わらないままの心

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ずっと想ってたんだ。
けど、二人の間には絶対に入れない。
だから、二人から可愛がられる後輩でいようって。それで十分なんだって。
そう思ってたのに…。



ガヤのことは、入学して間もない頃から知っていた。
履修した講義の1つに、他の学年も一緒に受けるものもあって、緊張しながら初めてその教室に入ったとき、目を惹く人がいたんだ。
すごく綺麗な顔立ちをして、窓際の席に参考書を開いて座っていた。一人でただ座ってるだけなのに、他のグループで騒いでいる奴等よりオーラがあって、その講義がある度に俺は姿を探すようになった。

自分でいうのも変だけど、俺はモテるらしい。常に女の子から声かけられるし、告白もされてきたけど、どの子も心から好きになることはなく、友達の延長みたいな形で付き合ってきた。
自分から誰かを求めるなんてしたことなかった。
だけど、あの人だけは違った。

一度話がしてみたくて、そして頑張って話しかけてみた。

「その洋服のブランド、好きなんですか？」
「えっ？」
いきなり知らない奴に話しかけられたら、誰だって驚くけど、ガヤは
「そうですね。割りと好きでよく着てます。あなたも好きなんですか？」
と優しく笑って答えてくれたんだ。
その笑顔にトクンと胸が鳴った気がした。

それから、毎回隣に座って話すようになって、呼び方も「藤ヶ谷先輩」から「ガヤ」と変わっていった。
ガヤは、一見クールで話しかけにくい感じだけど、それは人見知りなだけで、実はすごく優しくて、話しやすかった。
同じ学部だから、どの講義は取った方が良いとか、この講義の先生は厳しいとか、色々とアドバイスもくれるし、勉強に関係ない話もいっぱいした。
「このブランド新作でたの知ってる？」とか「サーフィン行きたいけど、課題終わらないんだよね」とか。
その話の中に、恋人の話も出てきた。
恋人の話をするときのガヤは、すごく優しい表情をしていて、その人のことが大好きなんだって聞かなくても分かるぐらいだった。

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