26 F ページ26
玉に背中を押してもらって、北山に会いに来た。
勢いで来たから、会って何を話すとか、どうするとか考えてなかったけど、迷ってる暇なんてない今すぐ行かなきゃって思って。
北山の住むマンションに着いて、インターフォンを押しても応答はない。
まだ帰ってきてないんだろうな。
オートロックの暗証番号も知ってるし、なんなら部屋の鍵もまだ返してなかったから、このまま部屋に行って待つことも出来る。
でも一度自分を落ち着かせるためにも、何時に帰ってくるか分からないけど、連絡もせずにエントランスで待つことにした。
どれくらい待っただろう。時間なんて分からないけど、待ってることは全然苦にならなかった。
いきなり会いに来た俺に驚くだろうな。
何て言われるかな。
もしかしたら、もう用はないって追い返されるかもしれない。
でも、それでも会いたい。
聞いてもらえないかもしれないけど、電話とかじゃなくて会って、ちゃんと俺の気持ちを伝えたい。
俺たちが離れてしまった理由……
それは、俺が幼稚だったから。
北山のことが好き過ぎて、二人の時間を作れなくなったことに耐えられなかった。
それに、何よりも不安だった。
俺だけが好きなんじゃないかって。
仕事で生き生きしてる北山は、もう俺のこと何とも思ってないように感じてしまって、北山の気持ちを聞きもせず一方的に離れた。
……そして、玉森の優しさに甘えたんだ。
一人でいることが寂しくて、側にいてくれる玉森とならって。
全て、俺の弱さが原因だった。
そんなことを考えていると、
「藤ヶ谷……?」
と呼ぶ声が聞こえ、顔をあげた。
その声の主は、会いたかった北山だ。
どうしたのかという問いに、曖昧にしか答えられずにいると、部屋にあがっていくかと言われた。
迷わずに、小さく頷いた。
久しぶりに入った部屋は、俺が北山を問い詰めたあの日から何も変わってなかった。
北山がコーヒーを準備してくれている間、定位置となっていたソファーに座って待つことにした。
どうやって話を切り出したらいいか、何から話そうか考えていると、コーヒーが差し出された。
コーヒーが入ったカップは、以前からこの部屋で俺が愛用していたものだった。
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ももは(プロフ) - ぴーちさまー!初作品お疲れ様でございました!とてもとてもステキなお話でした(;▽;)モテるFさんが色男すぎて、Tさんにも新たな出会いがみえて…明るい方向へと歩む光がとても素敵でした(><)安定のKさんは、かっこかわいい☆また次回作気になります…! (2019年11月18日 8時) (レス) id: db5af09c34 (このIDを非表示/違反報告)
ぴーち(プロフ) - ももはさん» ももはさまー!早速読んでいただき、ありがとうございます(≧∇≦)切ない始まりですが、ちゃんとハッピーで終われるはずです。ももはさまの作品の足元にも及びませんが、頑張って更新していけたら良いなと思っておりますので、お付き合いいただけると嬉しいです☆ (2019年10月29日 14時) (レス) id: 8b3214628f (このIDを非表示/違反報告)
ももは(プロフ) - ぴーちさまっー!初作品ありがとうございますっ!話の続きにわくわくが止まりません…!乙女Fさん、ふるゆわTさん、頑張り屋のKさん、切なくて既に胸がきゅーっとしています(><)ぴーちさまのペースで続きをお待ちしております! (2019年10月29日 7時) (レス) id: db5af09c34 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ぴーち | 作成日時:2019年10月29日 0時