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休みに入り、今日は出勤日だった。
明日は、玉と海に行く約束の日だ。
補習も終わりで羽が伸びきった生徒たちは
「藤ヶ谷先生またね〜」「恋人となかよくデートしてね♡」などと俺をからかうように声をかけ、慌ただしくも軽い足取りで帰って行く。
「気を付けて、帰れよ」
とその若い背中を見送りながら、明日も天気は良さそうだなぁと、廊下で呑気に窓の外を眺めていたら
「藤ヶ谷先生！」
まだ残っていた生徒に呼ばれたのかと振り返ると、そこには玉がいた。
「誰かと思ったら、玉森先生か。どうかした？」
まだ生徒がいるかもしれないから、一応"玉森先生"と呼ぶ。
「いや、黄昏てる姿が見えたから、ただ呼んでみただけだよ。"藤ヶ谷先生"って」
「いつもは注意しても、そう呼ばないのに」
「ん〜、そうだっけ？」
「………玉？」
いつもマイペースな言い方なのに、どこか寂しさを含んだ表情に、違和感を覚えた。
「……明日は、約束の海だね」
「そうだな。天気も良さそうだし、楽しみだな」
「………ねぇ、ガヤ。その海ってさ、思い出の海なんだよね？」
「…ん？よく行ってたし、まぁ思い出といえばそうかな」
「そんな大切な場所に、俺を連れてって良いの？」
「なに言ってるんだよ。あんなに楽しみにしてくれてたじゃん。やっぱ他に行きたいとこでもあった？」
「ううん、ないよ。ただ俺さ、思うんだよね。俺はそこに行っちゃダメだって」
玉の言っている意味が理解できなくて考え込んでいると、そんな俺を見て
「ガヤの中にはさ、ずっと同じ人がいるよ。きっとガヤも自分で気付いてるハズだよ」
"ずっと同じ人がいるよ"
その一言が、俺の中で重く響いた。
ずっと同じ人………頭に思い浮かんだのは、ただ一人だった。
玉は気付いていたんだ。俺は彼奴を今も忘れられていないということ。
そう、結局は北山と過ごした時間を過去に出来てないということを。
「行きなよ。俺なら大丈夫だから」
俺、最低だ。
玉に気付かされて、こんなこと言わせて。
玉の頭に手を乗せ
「ありがとう……それと、ごめんな……裕太」
そう言って、俺は玉に背を向けて歩き出した。
彼奴のところへ行くために。
「ズルいよなぁ、ガヤは。…ここで名前で呼ぶなんてさ」
玉がそう呟いたのは、知らなかった。
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ももは(プロフ) - ぴーちさまー！初作品お疲れ様でございました！とてもとてもステキなお話でした(；▽；)モテるFさんが色男すぎて、Tさんにも新たな出会いがみえて…明るい方向へと歩む光がとても素敵でした(＞＜)安定のKさんは、かっこかわいい☆また次回作気になります…！ (2019年11月18日 8時) (
レス) id: db5af09c34 (このIDを非表示/違反報告)
ぴーち(プロフ) - ももはさん» ももはさまー！早速読んでいただき、ありがとうございます(≧∇≦)切ない始まりですが、ちゃんとハッピーで終われるはずです。ももはさまの作品の足元にも及びませんが、頑張って更新していけたら良いなと思っておりますので、お付き合いいただけると嬉しいです☆ (2019年10月29日 14時) (レス) id: 8b3214628f (このIDを非表示/違反報告)
ももは(プロフ) - ぴーちさまっー！初作品ありがとうございますっ！話の続きにわくわくが止まりません…！乙女Fさん、ふるゆわTさん、頑張り屋のKさん、切なくて既に胸がきゅーっとしています(＞＜)ぴーちさまのペースで続きをお待ちしております！ (2019年10月29日 7時) (レス) id: db5af09c34 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ぴーち | 作成日時：2019年10月29日 0時
