15 K ページ15
玉が藤ヶ谷と付き合ってると言ったとき、藤ヶ谷の方を見た。
でも、彼奴は否定しなかった。それは無言の肯定。
そっか、そうなんだ。
やっぱり、彼奴の中では俺たち別れてたんだ。
なら、俺は潔く引き下がるしかないじゃん。
本当は笑う余裕なんてなかったけど、精一杯の気持ちで、「おめでとう」と言った。
その後は、どんな話をしたか覚えてない。
一緒に帰っていく二人の後ろ姿を見送って、帰宅した。
ふと目に入ったのは、お気に入りのキーホルダーについている藤ヶ谷の家のカギ。
しばらく見つめて、カギに問いかけた。
ねぇ、「おめでとう」と俺の言葉を聞いたとき、どう思ってた?
いつまで俺のこと好きでいてくれた?
もうお前に俺は必要ない?
なんて、今じゃもうそんなこと聞けないよな。
でも、藤ヶ谷との思い出が……思い出っていうより藤ヶ谷の存在が、今もこんなに埋め尽くしてるんだ。
今さらだけど、この想いは色褪せそうにないや。
それからの俺は、何かを忘れるように前以上に仕事に没頭したり、仲間と飲みに行く回数を増やした。
久しぶりに同僚の横尾さんと飲みに行ったとき、俺は酔って呟いたんだ。
「せめて、俺の知らないヤツなら、よかったのに」
玉じゃなきゃ、こんなにも苦しくならなかったかもしれない。
知ってる……しかも、可愛がっていた玉だから、何も言えなかったんだ。
オレに出来なかったことを、玉は出来るのかもしれない。
藤ヶ谷の一番近くにいれるのは、玉なんだろうな。
そんな事思いたくなくて、浴びるように酒を飲むけど、全てを忘れるほどは酔えなかった。
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ももは(プロフ) - ぴーちさまー!初作品お疲れ様でございました!とてもとてもステキなお話でした(;▽;)モテるFさんが色男すぎて、Tさんにも新たな出会いがみえて…明るい方向へと歩む光がとても素敵でした(><)安定のKさんは、かっこかわいい☆また次回作気になります…! (2019年11月18日 8時) (レス) id: db5af09c34 (このIDを非表示/違反報告)
ぴーち(プロフ) - ももはさん» ももはさまー!早速読んでいただき、ありがとうございます(≧∇≦)切ない始まりですが、ちゃんとハッピーで終われるはずです。ももはさまの作品の足元にも及びませんが、頑張って更新していけたら良いなと思っておりますので、お付き合いいただけると嬉しいです☆ (2019年10月29日 14時) (レス) id: 8b3214628f (このIDを非表示/違反報告)
ももは(プロフ) - ぴーちさまっー!初作品ありがとうございますっ!話の続きにわくわくが止まりません…!乙女Fさん、ふるゆわTさん、頑張り屋のKさん、切なくて既に胸がきゅーっとしています(><)ぴーちさまのペースで続きをお待ちしております! (2019年10月29日 7時) (レス) id: db5af09c34 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ぴーち | 作成日時:2019年10月29日 0時