EVER BLUE -Beginning story- (ページ37)

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「はい、」

拓「おー、いただきますぅ」

　

急いで朝ご飯を作ると、満足そうに笑って手を合わせるお兄ちゃん

…ていうかそれ私の部屋着

　

「それでなんで帰って来たの？」

拓「住んでたマンション取り壊しになってさ、新しいとこ探すより帰ったほうが金掛かんないかなと思って」

「え。じゃあもうずっと住むの？」

拓「いや待てなんでそんな嫌そうなんだ」

　

　

お兄ちゃんは家事をあんまり…いや全くやらない

　

というか得意じゃないみたい

　

　

だから得意なお前がやれっていつも押し付けられてた

それにお兄ちゃんはよく食べるから、食費が今より倍にかかることが目に見えている

　

　

拓「安心しろ。受験生のお前をこき使うつもりはない」

「ほんとかな…」

拓「で？お前進路どうするの？」

「ちょっ、急に聞かないでよ」

拓「なんならお兄ちゃんの大学来るか？AOくそ楽だぞ」

「いやいいよ…」

　

　

しばらく顔を見ていなかったけど、やっぱり昔から変わらない

　

まず味噌汁を一気に飲んでしまうところも

なんだかんだ心配してくれていることも

　

でも、いくらマンションが取り壊しだからって
わざわざ大学から遠い実家に帰って来るかな

　

　

「…ねえ」

拓「あ？」

「このこと、飛鳥知ってるの？」

　

　

卵焼きを摘まもうとした箸がぴたりと止まった

　

　

拓「…俺が帰って来たこと、飛鳥には言うなよ」

「あー…」

拓「なに？」

「祐基にラインして、そしたら今飛鳥と一緒だから伝えとくって…」

拓「はあっ？」

「…ごめん」

拓「お前らまだつるんでるのかよ…ったく、」

　

　

頭をぽりぽりかいてから卵焼きを食べるお兄ちゃん
　

そんな姿を見て、ひとりじゃないこの空間が、少しだけうれしくなった。

　

*