story.8 ∗*゚ ページ9
さて、再びやって来ました、梟谷学園。
見られてる…通りすがりの人にめっちゃ見られてるよ…。
「あれ?どうしたの?迷子?」
「うちの学校じゃないな。ネコマ…?」
「1人?誰かに用事?呼ぶ?案内する?」
門のところに居たら、部活が終わったのか、運動部らしき男の人たちに囲まれてしまった。
バレー部のみんなよりは全然身長高くないけど、それでも私にとっては大きい人たち。
しかも、知らない人が複数人…。
貴女「あ、の、バレー部に…」
ちょっと怖いけど、たぶんこの人たちには善意しかなくて。
頑張って声を絞り出すと、何かを堪えるような表情の、男の人たち。
「女バレ?案内するよ!」
「何年生?名前聞いていい?」
貴女「あ、えと、門のところで待っててって…。音駒高校1年の、黒尾です…」
「黒尾さん!彼氏とかいる!?」
貴女「えっ、彼氏!?いないです…!」
「彼氏居ないんだ!」
「ね、LINE教えてよ!」
「インスタやってる?」
ぐっと距離を詰められて、いよいよ声が出なくなる。
ぎゅっと目を瞑った瞬間___。
「どうしたの?」
聞き覚えのある声に顔を上げると、目の前にいる男の人たちが、後ろを振り返っていた。
「お、赤葦じゃん」
「なに、休憩?」
「俺ら帰るとこー」
彼等の後ろに立っていたのは、練習着にジャージを羽織った赤葦さん。
赤葦「休憩っていうか、校門のところに待ってる人が居るから連れて来てって言われて…」
言いながら、こちらを向いた赤葦さんと、目が合った。
赤葦「え、マネージャーさん?」
「なに赤葦、黒尾さんのこと知ってるの?」
「あ、バレー部って男バレの方?」
親しげに話しているところを見ると、知り合いなのかな。
知ってる人に会えて安心したら、じわっと涙が出てきた。
赤葦「え、ちょっ…!お前ら何したの」
「え!?なんかしたっけ!?」
「名前と学年訊いて、彼氏いるか訊いて、」
「連絡先聞こうとしてたところ!」
赤葦「ナンパじゃん」
赤葦さんは私の前でしゃがむと、頭をぽんぽんと撫でてくれた。
赤葦「知らない人に囲まれて怖かったよね。ごめんね。悪気はなかったと思う」
後ろの人達が、何度も首を縦に振る。
貴女「わ、私こそ、上手く話せなくて、ごめんなさい…」
「全然!」
「気にしないで!」
「じゃ、俺ら帰るね!」
じゃーね黒尾さん!と手を振りながら、彼らは帰って行った。
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作者名:沙夜 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/annzuamenoheya/
作成日時:2024年3月6日 9時