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story.1 ∗*゚ ページ2

黒尾「A!危ない!」

体育館に入った瞬間、目の前にボールが飛んできた。

避けきれない…!

ぎゅっと目を閉じると、バンッと大きな音が聞こえて、前髪がふわりと揺れた。

「大丈夫か?」

目を開けると、夜久さんのおっきい目が、すぐ近くにあって…。

貴女「…!」

夜久「A…?」

や、夜久さんのお顔…!

近い…!

黒尾「はい、やっくん離れてー。Aがフリーズしてる」

夜久「え?ちょ、黒尾…!」

夜久さんが少し離れて、今度はおにいの顔が近づく。

黒尾「A、状況理解できてる?」

ふるふる、首を横に振る。

黒尾「飛んできたボールを、やっくんがレシーブして守ってくれたんだぞ」

貴女「!」

夜久さんを見ると、少し照れくさそうに頬をかいている。

夜久「守ったとか、そんな大袈裟なもんじゃ…」

かわいい。

かっこよくてかわいい。

ものすごく、きゅんです…!

夜久さんを凝視していると、おにいの手がヒラヒラと目の前で振られた。

黒尾「ほらA。やっくんになんて言うんだ?」

貴女「ぁ、ありがとう、ございます…!」

夜久「気にすんなって。お前に怪我がなくてよかったよ」

ぽんっと乗せられた、私よりも大きな手のひら。

やばい。

きゅんが過ぎる。

尊い。

夜久さん、かっこよ……。

黒尾「あっ、ちょ、夜久!Aから離れろ…!」

慌てて間に入ってきたおにいの服にしがみつく。

貴女「おにぃ…夜久さんが尊い…。かっこよ…。きゅん…」

おにいにしか聞こえないくらいの声で、ひたすら繰り返す。

黒尾「あーー…」

夜久「?」

あーもう、そのきょとんとした顔も可愛い、すき。













貴女「でね、夜久さんきょとんてしててね、もうものすごく可愛くてね…」

皆と別れた帰り道、隣を歩くおにいと研磨くんに、ひたすら今日のきゅんを聞いてもらう。

貴女「夜久さんね、いつも面倒見良くて優しくてかっこいいでしょ?でもでも、照れてる顔とか、きょとんてしてる顔とか、超可愛くてね…」

入部してまだ3日ほど。

人見知りな私は、まだ他の人とは上手く話せないけれど、バレー部の人たちが優しくてかっこいいから、毎日きゅんきゅんしてるのだ。

貴女「夜久さんの彼女になれたら、絶対幸せだろうなぁ…。だってあんなに優しいんだよ?あーもー、すき…」

黒尾「こらこら。まだ早いでしょーが」

孤爪「俺もそう思う…」

貴女「えー?そうかなぁ?」

まあ、私が夜久さんの彼女なんて、なれるわけないけどね。

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作者名:沙夜 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/annzuamenoheya/  
作成日時:2024年3月6日 9時

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