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黒尾「A!危ない!」
体育館に入った瞬間、目の前にボールが飛んできた。
避けきれない…!
ぎゅっと目を閉じると、バンッと大きな音が聞こえて、前髪がふわりと揺れた。
「大丈夫か?」
目を開けると、夜久さんのおっきい目が、すぐ近くにあって…。
貴女「…!」
夜久「A…?」
や、夜久さんのお顔…!
近い…!
黒尾「はい、やっくん離れてー。Aがフリーズしてる」
夜久「え?ちょ、黒尾…!」
夜久さんが少し離れて、今度はおにいの顔が近づく。
黒尾「A、状況理解できてる?」
ふるふる、首を横に振る。
黒尾「飛んできたボールを、やっくんがレシーブして守ってくれたんだぞ」
貴女「!」
夜久さんを見ると、少し照れくさそうに頬をかいている。
夜久「守ったとか、そんな大袈裟なもんじゃ…」
かわいい。
かっこよくてかわいい。
ものすごく、きゅんです…!
夜久さんを凝視していると、おにいの手がヒラヒラと目の前で振られた。
黒尾「ほらA。やっくんになんて言うんだ?」
貴女「ぁ、ありがとう、ございます…!」
夜久「気にすんなって。お前に怪我がなくてよかったよ」
ぽんっと乗せられた、私よりも大きな手のひら。
やばい。
きゅんが過ぎる。
尊い。
夜久さん、かっこよ……。
黒尾「あっ、ちょ、夜久!Aから離れろ…!」
慌てて間に入ってきたおにいの服にしがみつく。
貴女「おにぃ…夜久さんが尊い…。かっこよ…。きゅん…」
おにいにしか聞こえないくらいの声で、ひたすら繰り返す。
黒尾「あーー…」
夜久「?」
あーもう、そのきょとんとした顔も可愛い、すき。
貴女「でね、夜久さんきょとんてしててね、もうものすごく可愛くてね…」
皆と別れた帰り道、隣を歩くおにいと研磨くんに、ひたすら今日のきゅんを聞いてもらう。
貴女「夜久さんね、いつも面倒見良くて優しくてかっこいいでしょ?でもでも、照れてる顔とか、きょとんてしてる顔とか、超可愛くてね…」
入部してまだ3日ほど。
人見知りな私は、まだ他の人とは上手く話せないけれど、バレー部の人たちが優しくてかっこいいから、毎日きゅんきゅんしてるのだ。
貴女「夜久さんの彼女になれたら、絶対幸せだろうなぁ…。だってあんなに優しいんだよ?あーもー、すき…」
黒尾「こらこら。まだ早いでしょーが」
孤爪「俺もそう思う…」
貴女「えー?そうかなぁ?」
まあ、私が夜久さんの彼女なんて、なれるわけないけどね。
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作者名:沙夜 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/annzuamenoheya/
作成日時:2024年3月6日 9時