かもめ学園の大空兄妹 (ページ3)

今日:2 hit、昨日:0 hit、合計:559 hit

第1話ページ3

七不思議伍番目16時の書庫

かもめ学園の図書館には16時にだけ入ることができる特別な書庫がある

書庫にあるのは、人の名前がついた本

書かれているのはその人が学園に居る間の記録

これまで何をしたのか
これから何をするのか

過去も

未来も

全て書かれている本がある書庫である

書庫には白、黒、赤の3種類の本があり

白い本には生者

黒い本には死者

赤い本は絶対に見てはいけないと言われている

「…とは聞いていたけどすごい量の本だよね」

脚立の上から辺りを見回す

沢山の本棚に床には水が少しはっている

脚立の足元で本をペラペラと見ている妹をチラリと見つめた

「噂通り…ってことかな。綱吉、脚立気をつけて」

「へ？…うわっ！？」

目の前を通る蝶にびっくりし綱吉は脚立から落ちそうになり、心臓がバクバクと鳴っている

じとっとした視線を下から向けられ苦笑し、ゆっくりと脚立から降りる

「…本当に七不思議ってあるんだね」
　

不思議な空間である書庫を見つめてはポツリと呟く

「……」

本を閉じては棚に本を戻したところで遠くから大きな音がし、地響きが響き渡った

「う、うわっ！？な、なに…？」

「あっちから音がした…」

スッと指をさし、そちらへ歩いていく

「ちょっ、ヒナ！？待ってよ！！」

音のした方へ行くと髪の長い女子生徒と金髪の謎の交通安全お守りピアスをした男子生徒が同じ姿のなにかに追われていた

「！何あれ…っ！た、助けなきゃ！！」

青い顔をした綱吉はすぐさま本棚の陰から助けに入ろうとするが、ぐいっと手を後ろに引かれる

「だめだよ。綱吉」

「ヒ、ヒナ…っ」

雛菊は綱吉の手を掴んでは強く握り

「ヒナ…？」

「……大丈夫。あの子達はアレが助ける」
　

綱吉が再び彼女達の方に顔を向けると二人の前には出刃包丁を持った怪異がいた

「あれは…」

「…七不思議が七番目。トイレの花子さん」

「トイレの花子さんって…女の子じゃないの！？」

ぎょっとした顔をしてはこちらに気づきそうにない彼らを見つめ

どうやらここの主である七不思議伍番もいるようだ

「…なんかモメてる？」

「今うちに出よう…綱吉」

雛菊は綱吉の手を引き、バレないように16時の書庫から立ち去る

それを見ている人物が居るとも知らずに

「……(あいつらは…)」