不滅華 (ページ50)

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9月1日の始業が近づいてきた夏の日、Aは湖のほとりに来ていた。

Aは杖無し魔法の練習をしていた。

『某RPG漫画みたいに魔力を収束して放てれば強いよな。』

と右人差し指に魔力を集中させ、落ちてきた木の葉に小さく放つ。

成功すれば真ん中に穴が開くはずと思いながら葉を見ると、全体が燃え焦げてしまっていた。

『んー…杖無しってだけでも少数派なのにこれまで出来たらチート過ぎるか。』

そう言いながら図書館から持ってきた本を読み始めた。

・世界の珍しい草花
・いにしえの草花

《不滅華》を探すのは空き時間に続けていた。
ありとあらゆる本に手を付け探しているが今のところ類似しているようなものも、噂も載っていない。

『おじいちゃんに聞いてみるしかないかなぁ…』

Aがゴロンと寝そべり、草の匂いや風を感じていると

｢ここに居たか。｣

休暇中も真っ黒ないでたちの彼にAは寝そべったまま『ふふ』と笑い起き上がった。

『セブルス君』

｢次年度の教材を買いに行けと校長が言っていた。｣

『もうそんな時期か。リストあれば行ってくるよ。』

とスネイプに向きいうAだが、スネイプが

｢馬鹿か。どこに脱獄犯がいるかも分からんのに1人で行くやつがあるか。校長からもついて行けと言われておる。｣

『脱獄…あー、シリウス・ブラックね。私が負けるとでも？』

シリウス・ブラックの名を聞いたスネイプは顔を顰め

｢思わないが、今のお前は"ダンブルドアの孫のホグワーツ生"だ。
奴だけではなく他の者達にも狙われることもあろう。
明日の朝食後に出立する。｣

『なるほど。わかった、ありがとう』

(シリウス…いい思い出はないけど彼がいることでハリーの精神は安定する。けど、彼のﾀﾋが成長を促している部分も…。今は目の前のことだ。今の私にパトローナスは出せるのだろうか。)

いつの間にか日が傾いて湖のほとりはひんやりとしていて、Aは小さく震え荷物をまとめ部屋に戻った。