検索窓
今日:40 hit、昨日:47 hit、合計:41,108 hit

245 ページ49




2日後、鯉登閣下が贔屓いる艦隊が港に到着した

あれから直ぐにAは吹っ切れたようにいつもの調子に戻った

ただ面白がってくる鶴見から逃げるのに必死だった


「Aくん、2人の事も宜しく頼んだぞ」

『…善処します。では…』


船に乗り込もうとしたが足を止め、振り返る


『色々とご迷惑をおかけしました。…それじゃ…行ってきます』

「!…フフっ…あぁ、気をつけて」


照れ臭そうに言うAを鶴見は優しく送り出した


船は動き出し、海の上を風を切り走る


『すごかぁ…』


初めて乗る大きな船に無意識に目が輝く

船底から上がる飛沫を飽きずに眺めていると月島がやってきた


「体が冷えるぞ」

『面白くて目が離せん』

「子供か」

『初めてこげな大っきい船に乗ったと…』


それこそ子供のように頬を膨らませ拗ねる


「白……、A」


改めて名を呼ばれ、月島を見上げる


「…あの時助けて貰った事、感謝している」


月島は周りに杉元達がいない事を確認し、少し頭を下げた


『この前も聞いた。もう感謝せんでよかよ』

「しかし…」

『貸し借りって事なら、この間ので精算しとるよ』

「?」

『月島さんの握り飯凄く美味しかった』

「…ふ…またいつか握ってやる」


和やかな雰囲気が流れ、とても心地よかった


「月島ぁ!」


彼の声が聞こえた瞬間Aの眉間に皺が刻まれ、月島は少し緩んでいた顔が引き締まった


「げ!またお前か…」

『こっちの言葉や』

「何故いつも月島とおるのだ」

『こっちの言葉や』


キッと睨み合う2人に月島は溜息を吐いた

そんな彼の様子に気づいたAは鯉登から目を逸らし、海を見る


「な!また無視するつもりか」

「彼女は気を遣ってくれたんですよ。少尉は私を探していたんでしょう?」


月島に背を押され、少し離れた所で2人は樺太での話を始めた


246→←244



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 10.0/10 (74 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
140人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

げん(プロフ) - しろやぎさん» ありがとうございます!そのお言葉が最高です!頑張ります! (2023年1月9日 0時) (レス) id: a079014d07 (このIDを非表示/違反報告)
しろやぎ - もう最高!!全てが大好きです!! (2023年1月5日 9時) (レス) @page22 id: 99b2f3a031 (このIDを非表示/違反報告)
げん(プロフ) - くれはさん» コメントありがとうございます!とっても嬉しいお言葉です!励みになります!更新頑張ります!! (2022年12月28日 21時) (レス) @page16 id: 3da1d6569e (このIDを非表示/違反報告)
くれは(プロフ) - 文章構成や、ストーリーの流れて会話がきれいで読んでいてとても楽しいです!更新楽しみにしています! (2022年12月28日 14時) (レス) @page13 id: f312d035a4 (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:げん | 作成日時:2022年12月22日 22時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。