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黙ってゆっくりと食べるA

そんな彼女を何も言わず待っている月島

通りかかった兵士は不思議そうな顔で2人を見ていた


「月島ぁ〜!どこにいる!?」


静かな2人に聞こえたのは遠くからでもわかる鯉登の声


『朝から煩いですね』

「…元気な方です」

『…もう大丈夫ですから。仕事行って下さい』

「握りはもうひとつある」

『頂きますから』


2人共立ち上がり、握りを受け渡す


「……。」

『……。』


だが握りを中々離さない月島に眉を寄せた


『ちゃんと食べますよ』


少し強めに言えば彼は小さく笑い手を離した


「月島!こんなところにいたか!」


建物の角からやって来た鯉登はAに気がついていない


「どうしましたか鯉登少尉」

「鶴見中尉のところに……ッキェ!!ないごてそいつと一緒におる!?」

「握り飯を食べさせていました」

「に、握り飯??」


月島の横でオロオロしながらこちらを見る鯉登


『お久しぶりです鯉登さん。先達てはどうも』


Aはニコリと笑い挨拶をする


「うぅ…その…先達ては…その…」

『何の事です?』

「…?……わ、忘れたのか?」

『…風が髪を靡かせる度に寂しくなります』

「キェッ…」

「ほら、少尉殿。ちゃんと謝罪を…」


月島に背を押され鯉登は前に出た


「ほ、本当に申し訳なかった。おなごだとは知らず…」


頭を下げる鯉登にAは麺を食らった顔をする


「どうした?」


月島は不思議に思い尋ねた


『あ、いえ。…謝罪に驚いて…』

「なんじゃ!おいが偉張った様に見えるか!?」

「少尉殿、落ち着いて」

『…いえ、髪を短くされる事は昔からよくありましたから』

「「!」」

『謝罪されたのは初めてで……』

「どう言う事だ…?

『…兎に角、もう過ぎた事ですから。失礼します』


月島に軽く頭を下げ、部屋に戻ろうと足を進める


「待て!まだ話が…ッ…」


鯉登は腕を掴んで引き止めようとしたが、分かっていた様にすんなりと避けられた


『謝罪はもう十分です。触らないで下さい』


そう言ってAは部屋へと戻って行った


「…お、おなごに…避けられた…」

「嫌われましたね」

「鶴見中尉殿に仲良くしろと言われたばかりなのに…」


嘆く鯉登を見て、月島は無理かも知れないと渋い顔をしたのだった


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げん(プロフ) - しろやぎさん» ありがとうございます!そのお言葉が最高です!頑張ります! (2023年1月9日 0時) (レス) id: a079014d07 (このIDを非表示/違反報告)
しろやぎ - もう最高!!全てが大好きです!! (2023年1月5日 9時) (レス) @page22 id: 99b2f3a031 (このIDを非表示/違反報告)
げん(プロフ) - くれはさん» コメントありがとうございます!とっても嬉しいお言葉です!励みになります!更新頑張ります!! (2022年12月28日 21時) (レス) @page16 id: 3da1d6569e (このIDを非表示/違反報告)
くれは(プロフ) - 文章構成や、ストーリーの流れて会話がきれいで読んでいてとても楽しいです!更新楽しみにしています! (2022年12月28日 14時) (レス) @page13 id: f312d035a4 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:げん | 作成日時:2022年12月22日 22時

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