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舎房へ近づくに連れ激しくなる銃撃音と無残な死体の数に第七師団がここまで辿り着いてる事を物語っていた

Aは屋根の上に登り、硝子戸から中を覗いた


『…ッッ!!』


中は正しく地獄絵図だった

脱獄した武器を持たない囚人達と第七師団の殺し合い

全てが赤に染まりゆく


『2人はッ』


五翼放射状に広がる舎房はあまりにも広すぎた

地獄から目を逸らし、屋根の上を走り回る


「誰かいるぞ!」

「撃てぇ!」

『ッツ』


下にいる兵士に見つかり銃弾が飛んでくる

屋根に伏せながらもAは舎房を移動し2人を探し続けた


ドンっ


微かに聞こえた爆発音に立ち上がる


『爆弾!』


煙の立ち上がる場所に辿り着き、左右を見渡す


『キロランケ!』

「!!」


名を呼ばれたキロランケは立ち止まり周りを見ていた


ダンっ


Aは屋根から飛び降り、キロランケの元へ向かう


「A!心配してたんだぞ!」

『勝手にごめん。それより杉元達は?』

「杉元は今助け出した!白石もアシリパも正門に向かってる」

『良かった!アシリパさんに会えたんやね』

「杉元が教誨堂に居るのっぺら坊を連れてくるから待ってろと言っていたッ」


キロランケはAの腕を取った


「さぁ、俺たちも行こう」

『待って』

「どうした?」

『私は杉元の加勢に行く』

「ダメだっ、危険すぎる」

『でも、1人で人を抱えてくるのは…』

「ダメだッ!!」

『!?』


キロランケに強く否定されてAは驚いた


「…危険だ。Aは俺達と一緒にいた方がいい」

『…?…でも…』

「行かないでくれ…」

『…どうしたん?』


険しい顔で離してくれないキロランケに眉尻を下げる


「頼む、一緒に行こう」


がばっ


Aはキロランケに思い切り抱きついた


『大丈夫』

「!」


驚きで腕の力が抜けた瞬間キロランケから離れた


『アシリパさんには2人が付いていれば安心やし、必ず杉元とのっぺら坊を連れてくるけん』


Aは安心させるように笑って見せた


『また後で会おうね』


踵を返し走り出す


「A!!!」

『キロランケ!気ぃつけてね!』


殺伐とした戦場でヘラッと笑い手を振るAの姿はあっという間に見えなくなった


「…ッ……ダメだ…」


キロランケの引き止めようと伸ばした手は行き場を無くし、虚しく空を掴んだ


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げん(プロフ) - しろやぎさん» ありがとうございます!そのお言葉が最高です!頑張ります! (2023年1月9日 0時) (レス) id: a079014d07 (このIDを非表示/違反報告)
しろやぎ - もう最高!!全てが大好きです!! (2023年1月5日 9時) (レス) @page22 id: 99b2f3a031 (このIDを非表示/違反報告)
げん(プロフ) - くれはさん» コメントありがとうございます!とっても嬉しいお言葉です!励みになります!更新頑張ります!! (2022年12月28日 21時) (レス) @page16 id: 3da1d6569e (このIDを非表示/違反報告)
くれは(プロフ) - 文章構成や、ストーリーの流れて会話がきれいで読んでいてとても楽しいです!更新楽しみにしています! (2022年12月28日 14時) (レス) @page13 id: f312d035a4 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:げん | 作成日時:2022年12月22日 22時

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