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トンネルは無事に開通した

だが、開通した先は網走監獄の看守の宿舎の中だった

門倉という看守はこちらの味方で土方と通じていると言った

アシリパ達やキロランケ、土方が夜な夜な門倉と会議を重ねている

新月の夜に侵入すると決まり、其れ迄はそれぞれ監獄の様子を見張るなどして時間を過ごしていた


「貴女は話聞いて来なくていいの?」


アシリパ達にはついていかず、いつも村で待っているAに家永が話しかけた


『私が行ったって意味無い。それよりカノさんと医学の話してる方がよっぽど役に立つ』

「フフ、貴女とこんなに気が合うなんて思っていなかったわ」

『あの時の事は許した訳じゃないぞ?』

「…うっ…だ、だって、その綺麗な肌が欲しかったんですもの…」

『…綺麗じゃなかったやろ…』


ムッとした顔で薬草をいじるA

いじける彼女を見て家永は少し笑う


「…その傷跡、治してあげましょうか?」


一瞬驚いた様な顔をしたが、直ぐに顎に手を添え考え込む


『…誰の皮膚を剥ぐつもり?』

「夏太郎とか?」

『自分が欲しいだけやん』

「ウフフ」

『また先生に怒られるよ』


2人で薬草を仕分け、直ぐに使えるようにと準備していく


『…なぁ、カノさん』

「はい?」

『…私が死んだら、皆の事お願いしますね』

「?…えぇ、そりゃあ勿論」

『良かった。自分が居なくなったら誰が皆を治療するんだって考えよったら、死ぬのが申し訳なくなるんだ。皆には生きてて欲しいから…』

「貴女、何を言って…」

『でも、カノさんばおれば安心ばい』

「…っ」


本当に安心した顔をするAに家永は掛ける言葉を失ってしまった


「A〜戻ったぞ〜」


遠くから聞こえるアシリパの声


『お、アシリパさん』


Aは立ち上がり道具を片付け、家永を見下ろす


『カノさん、死んだらいかんけんね』


ニカッと笑うAはそう言い残し、その場を後にした


「……貴女も死んではいけないでしょう…」


家永の言葉は誰にも届かず虚しく消えたのだった


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げん(プロフ) - しろやぎさん» ありがとうございます!そのお言葉が最高です!頑張ります! (2023年1月9日 0時) (レス) id: a079014d07 (このIDを非表示/違反報告)
しろやぎ - もう最高!!全てが大好きです!! (2023年1月5日 9時) (レス) @page22 id: 99b2f3a031 (このIDを非表示/違反報告)
げん(プロフ) - くれはさん» コメントありがとうございます!とっても嬉しいお言葉です!励みになります!更新頑張ります!! (2022年12月28日 21時) (レス) @page16 id: 3da1d6569e (このIDを非表示/違反報告)
くれは(プロフ) - 文章構成や、ストーリーの流れて会話がきれいで読んでいてとても楽しいです!更新楽しみにしています! (2022年12月28日 14時) (レス) @page13 id: f312d035a4 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:げん | 作成日時:2022年12月22日 22時

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