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旅館へ戻った一行は其々の部屋に戻り、直ぐに着替えた

Aは着替えを済ませ、大広間に都丹達と話している土方の前に正座した


『土方さん、これありがとうございました』

「あぁ」

『…?』


上着を返すとそっと手を握られた

目線を上げると土方は少し悲しそうな顔をしていた


「私が遅かったせいだな」


首の圧迫痕を見つめる土方


『大丈夫ですよ。今度も生き残りましたから』

「私が来なければ死を受け入れていただろう」

『……お陰様で…生き残りました』


土方の手を離し、会釈をしてその場を後にした


「……。」

「踏み込みすぎると嫌われますよ土方さん」

「それは厳しいな」


永倉に忠告され土方は小さく笑った


皆が集まる大広間でAは杉元と谷垣の治療を終える


『余り無理するなよ。直ぐに出来なかった分、血が流れすぎとる』

「「はい」」


杉元はアシリパに谷垣はインカラマッに任せた


『…っ…』


太腿に痛みが走るが顔には出さず、Aは誰も居ない部屋に移動する


『…暗くて見えんな…』


自身の傷の縫合をするが灯りは全て広間にある為、上手くいかなかった

アシリパを呼ぼうと立ち上がろうとした瞬間、静かに襖が開いた


「灯りが要るかと思ってな」

『!』


中には入らず灯りを差し出すのは土方だった


『あ、ありがとうございます…?』


呆けたまま中々受け取らずにいると土方は「入るぞ」と一言断りを入れ、入室した

ズボンを片足履いていない状態のAを見て笑う


『は!すいません、お見苦しいものを…』

「いいや、綺麗だ」


…なにがっ、…サラッと言うなッ…


部屋から出る気配のない土方に渋々と背を向け、縫合を終わらせた


『!』


止めていた息を吐き出しズボンを履こうとした時、土方が近づき太腿の縫合跡を覗いた


「やはり見事なものだな」


先程の会話など無かったかのように普通に接する土方にAは眉尻を下げた


『……先程は失礼な態度で…ごめんなさい…。それと…助けて頂きありがとうございます』

「私こそすまなかった。だが、ひとつ言いたい」

『?』

「捨てる命なら私に預けてくれないか?」

『!』


近くなっていく距離のせいか暗がりのせいなのか分からないがAの心音は早まっていく


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げん(プロフ) - しろやぎさん» ありがとうございます!そのお言葉が最高です!頑張ります! (2023年1月9日 0時) (レス) id: a079014d07 (このIDを非表示/違反報告)
しろやぎ - もう最高!!全てが大好きです!! (2023年1月5日 9時) (レス) @page22 id: 99b2f3a031 (このIDを非表示/違反報告)
げん(プロフ) - くれはさん» コメントありがとうございます!とっても嬉しいお言葉です!励みになります!更新頑張ります!! (2022年12月28日 21時) (レス) @page16 id: 3da1d6569e (このIDを非表示/違反報告)
くれは(プロフ) - 文章構成や、ストーリーの流れて会話がきれいで読んでいてとても楽しいです!更新楽しみにしています! (2022年12月28日 14時) (レス) @page13 id: f312d035a4 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:げん | 作成日時:2022年12月22日 22時

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