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尾形は木の上でAの作業が終わるのを待っていた


『…よし、意外と早く終わったな』


作業を終え、木を見上げた


『猫ちゃ〜ん、降りておいで〜』


木の隙間からひょっこりと顔を出す尾形に手を招く

素直に降りて来た尾形は銃を背負い直し隣へやって来た


『あ、そうだ』

「?」


Aはニコニコと笑い尾形に近づく


『尾形先生?』

「!」

『銃を教えてくれませんか?』


尾形は緩む口元を隠す様に手で抑え、顔を逸らす


『ダメか?弾は使わんけん…構えだけでも…お願いします尾形先生』


手を合わせ首を傾げるA

そんな彼女をチラリと見てグッと歯を食いしばった


「…分かったから。その呼び方辞めてくれ」

『何で?』

「…色々ともたん」

『?』


無言で銃を渡され、少し驚きながら受け取る


本当に銃を貸してくれるとは…


「お前が頼んだんだろ」

『心をよむな』

「顔に出てる」


溜息を吐かれながら、Aは尾形の銃を構えた


「違う。もっと脇を絞めろ。それじゃ標準が定まらん」

『ん、こうか?』

「お前今までどうやって撃ってきた」

『死に物狂いってやつだ』

「ハァ…」

『う、呆れんでくれ…』


尾形の溜息に肩を落とす


「触れるぞ」

『!』


ぐっと体を引き寄せ、Aの背後から腕を支えた


「力み過ぎるな。銃身が揺れる」

「この構えを覚えろ」

「表尺と獲物から目を離すな」


耳元で囁かれるひとつひとつの言葉に頷き、体現していく


「あの木の枝に当ててみろ」

『…良いのか?』

「1発だけだ。撃てば覚える」

『分かった』


深呼吸をして呼吸を整えれば、尾形の支えが離れた


パァン


『……外れた…』

「フン、初めからあの距離は無理だ」

『俺は出来るけどって事か?』

「当たり前だろ」

『はいはい、ありがとう』


小さく笑う尾形をジト目で見ながら銃を返した


「どうだった?」

『尾形の凄さが少し分かった』

「フンっ」

『ムカつくなその顔』


暗くなり始めた空を見て2人は村へと帰路を辿る


ーっ


『?』


Aは何か聞こえた気がして振り返った


「どうした?」

『…いや、何でもない』


背後を気にしながら、2人は暗くなる前にと村へ急いだ


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げん(プロフ) - しろやぎさん» ありがとうございます!そのお言葉が最高です!頑張ります! (2023年1月9日 0時) (レス) id: a079014d07 (このIDを非表示/違反報告)
しろやぎ - もう最高!!全てが大好きです!! (2023年1月5日 9時) (レス) @page22 id: 99b2f3a031 (このIDを非表示/違反報告)
げん(プロフ) - くれはさん» コメントありがとうございます!とっても嬉しいお言葉です!励みになります!更新頑張ります!! (2022年12月28日 21時) (レス) @page16 id: 3da1d6569e (このIDを非表示/違反報告)
くれは(プロフ) - 文章構成や、ストーリーの流れて会話がきれいで読んでいてとても楽しいです!更新楽しみにしています! (2022年12月28日 14時) (レス) @page13 id: f312d035a4 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:げん | 作成日時:2022年12月22日 22時

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