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「おいこれは何だ」
「えぇ？それはッ！？」
「トボけんじゃねぇよオッサン。俺達より先にいてこの生首に気付かない訳ないだろ」
Aは生首という単語に顔を上げ、階段を見た
そこには２つもの生首が置いてあり額には六と言う数字が刻まれていた
「ここの戸を閉めて囲炉裏の側にずっと居たから気づかなかったんだ！本当だ！」
「そういや従業員はこの家は使われてないって言ってたぜ？ホントにあんたの家か？」
「どっちだ？どっちが俺を殺しに苫小牧から追ってきた男だ？」
ドンドンドンっ
キロランケが男達を睨み質問した時、表の扉が強く叩かれた
「白石いないのか！？戸が開かないぞ！早く開けろ！！」
『アシリパさんだ！』
白石は土間に走り、唯一開けておいた窓から顔を出す
「こっちだ！裏へ走れ！！この窓以外は全て塞いである！気を付けろッ！家の周りに赤毛がいるぞ！！」
アシリパ、杉元、従業員の男がゆっくりと窓に近付く
従業員はアシリパを窓へと抱き上げ白石が引っ張り上げる
「あんたも！」
「2人とも早く入れ！赤毛を食い止める！」
杉元は銃弾を装填しようとするが突然足を早めたヒグマに襲われて弾を落としてしまった
「革帯を投げろ！ヒグマは蛇が嫌いなんだ！」
白石の声に杉元は直ぐにベルトを外して投げた
共に落ちた弾薬盒や銃剣を拾おうとしたが更に2匹のヒグマが現れ、慌てて窓に飛び込んだ
「危機一髪だぜ…」
「弾薬盒が…」
全員が屋内に入り落ち着いたが窓の外を見ていたAは叫んだ
『窓から離れろ！！』
しかしそれは遅く従業員の男が窓から伸びたヒグマの手に捕まった
「ぎゃぁぁああ！！！」
引っ張られる男の足を杉元は掴んで引き止める
アシリパとAも何とか抑えるが男の凄まじい叫び声に顔を歪めた
「杉元もうよせ！お前も引き摺り出されるぞ！」
「コイツは暗号の入れ墨を持つ脱獄囚かもしれないんだ！」
「「「！！」」」
「離すなよ杉元！」
杉元の銃にマキリを結びつけたキロランケはヒグマに向かって何度も突き刺した
怯んだヒグマが力を緩めた瞬間、杉元は男を引き込んだ
杉元は顔や上半身が見ていられないほどになった男の肌を確認する
「違った……囚人じゃねぇ」
一行は改めてヒグマの恐ろしさを認識しながらひと息つく
Aは家にあった毛布を男にかぶせ手を合わせたのだった
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作者名：げん | 作成日時：2022年11月3日 17時
