じょうもんさんば雪の上 / 参 (ページ45)

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倒れる2人の間から立ち上がり、返り血を拭う

「ニシパッ！」

女性の声で残っていた1人がコチラに弓矢を向けているのに気が付いた

「黙ってろ女ァ！」

男は怒鳴り声と共に女性に弓矢を向ける

『いかんッ！』

バッ

女性の頭を支え、押し倒し弓矢を避けた

「！？」

戸惑う女性が起き上がらないよう軽く抑えながら、直ぐに拳銃を取り出し発砲する

パァンッ

銃弾は頭に命中し男は絶命した

『…ッツ…』

咄嗟に向けた銃口だった

その銃口から飛び出した弾は見事に人間の頭を撃ち抜いた

…あぁ、やってしまったッ…

戦争以外で人を殺す事が無かったAの体の血流が早まり、心臓が跳ね回る

「…ニシパ？」

『…っ！』

下敷きになっている女性に服を引かれ、Aは我に帰る

『す、すまない…怪我は無いかな？』

頷く女性を立たせていると村に恐ろしい声が響いた

「アシリパさんを何処へやったッ！！！！」

その後すぐ杉元の怒鳴り声が響く

『やっと動いたか…。さぁ安全な所に』

他の女性達が集まる場所へ送り届けAは走り出す

あちこちで銃声や男達の怒鳴り声が聞こえた

杉元の声を辿り、開けた場所に出る

「うぉぉお！」

杉元は多数に囲まれるも返り血を浴びながらヤクザ達を殺して行く

『！』

杉元の背後から槍を持って迫る男に向かって走った

ぐさっ

「グッ…ハァっ…！」

短剣を背後から心臓を正確に貫き、直ぐに引き抜く

ピシャァっ

傷口から噴き出す生暖かい血の雨を浴びる

戦争で学んだ久々の感覚に体が冷えていく

「A！」

『それを寄越せ。アシリパさんを探して来い』

「…あ、あぁッ」

手元の鎌を奪い取るAに杉元は少し慄いたが直ぐに走り出す

『隠れとらんで出てきんしゃ〜い』

鎌を弄びながら、低い声で家の中に隠れるヤクザを煽る

男が大鎌を振り回して走って来た

『だけん大振すんなって』

大鎌の柄を掴み動きを止め、脇を切り上げる

取り上げた大鎌の柄で頭を殴り付けた

ドダっ

Aは気を失ったか絶命したか分からない男を通り過ぎ、辺りを見回す

『…何だ、もうおらんのか？』

「やるじゃないか」

辺りに転がる死体を見下ろしているとニヤついた尾形がやって来た

血が入り片目を瞑るAは冷めた顔で見返す

『お前は綺麗だな』

「狙撃手だからな」

『…チッ……顔洗ってくる』

舌打ちされた尾形は少し驚き目を丸くさせたのだった

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