じょうもんさんば雪の上 / 参 (ページ43)

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…捕まえて食うんやろうか…

蟻をいじる杉元の隣で蝶を追いかける尾形を眺める

「なぁ…まだなの？」

牛山がそっと呟いた時、漸く家から若い男が出て来た

「アフプヤン(どうぞお入りください)」

杉元は男に差し出された手を握り、空いた手で牛山の手を握る

「全員で手を繋ぐのか？」

牛山は戸惑いながらも尾形の手を取った

尾形は後ろを向きAに手を出す

「……。」

『……。』

眉を寄せながら手を乗せれば強めに包み込まれた

「小さいな」

『煩い』

Aはニヤリと笑う尾形を睨み、アシリパと手を繋いだ

「背筋は伸ばすなッ。手を引かれて招き入れられる時は腰を屈めるのが作法だぞ」

牛山も尾形も素直に従い、腰を屈め家の中へと進む

『……。』

Aはいつもと様子が違い何かを考えるアシリパを気にしながら前について行く

家には3人のアイヌの男に1人の女性が居た

Aはアシリパと共に杉元達3人の正面に囲炉裏を囲んで座った

「イランカラプテ」

村長が礼拝をして何かを言う

「ムシオンカミ」

突然アシリパが村長を指差した

誰もが呆けていたがアイヌの女性だけが少し吹き出し笑いそうになっていた

「この子はどうしてアンタらと一緒に居るんだ？」

「あー、ちょっと駄賃をやって案内をさせてるんだ。俺達はこうやってアイヌの村にも滞在したりするんでね」

「そうか…」

男はアシリパから目を逸らした

「家族を紹介しよう。そっちに座ってるのは私の妻モノアだ。こっちの若いのは弟の…」

「オソマ行ってくる！！」

アシリパ突然立ち上がった

「ちょっとアシリパさん！我慢出来ないのか？」

『ついて行こうか？』

「大丈夫だ！もうオソマが出口まで来ている！」

「んまぁ〜〜下品ッ！」

アシリパは一瞬Aを見て、外へ出ていった

『………。』

Aはより一層周りの人間に目を光らせる

「すみませんね普段は礼儀正しいんだけど…他の家ではこう言った場で挨拶の邪魔なんてしなかったし、頭の鉢巻きとかもちゃんと取ってたのに…どうしたんだろうな」

エクロクが弟にアシリパが迷ってないか見てこいと言う

…マズイな…

その時、隣に居た女性がコチラを見た

彼女の何かを訴えるような瞳に少し笑って頷いた

「あ、A！人の奥さんに色目使うなよ」

『阿呆か』

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