じょうもんさんば雪の上 / 参 (ページ5)

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103 親分と姫ページ5

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少しずつ近づいてくるヒグマに3人は息を殺した

「ゆっくり動け、絶対走るな…」

キロランケの忠告に頷き、馬を引き連れゆっくりと農家へと進む

ダッ

「このタコ坊主ッ！」

『馬鹿かッ』

恐怖からか白石が突然走り出す

ヒグマは白石に狙いを定め足を早めた

「ウヒィッ！ウヒー！」

「革帯を外して投げろッ！ヒグマは蛇が嫌いだ！！」

「ウヒッウヒッ！ウヒィ！！」

白石はベルトをヒグマに投げつける

「バヒィッ！」

ヒグマがベルトに驚き怯んでいる間に一気に農家へと走った

「早く来いシライシ！」

「待ってぇ！」

『ズボンあげて走らんか！』

ベルトが無くなり膝下まで落ちたズボン

プリプリと尻を丸出しで白石は駆け寄って来た

ガラっ

「何の騒ぎだ？」

農家の戸が空きおじさんが顔を出した

だが、お構いなしに馬を引き連れ3人は飛び込む

「うおお！何だ何だ！！」

『外にヒグマがおる！』

「あんた銃は！？」

「銃なんてこの家には置いとらんぞ」

ガタッ

閉めた扉の外からヒグマの荒い鼻息が聞こえる

『警戒して入ってこんのか…』

「今のうちに戸を塞ごう。白石手を貸せあのデカいのを動かすぞ」

精米器のような大きな絡繰を運び入口を塞ぐ

『…ここはおじさんの家ですか？誰も使ってないと聞いたけれど…』

Aは息を落ち着かせ、自分より背の低い男を警戒の目で見る

「いいや、一晩泊まれると牧場の人間に聞いてここに来たんだ」

『そうか、ヒグマを引き連れて来てしまい申し訳ない』

警戒を解き首裏を掻きながら謝るAに男は熱い視線を向けていた

「キロちゃんさぁ、あの馬は大切な愛馬でも何でも無いよねぇ？頼むから外に追い出して食わせちまってくれよ！」

「どっちにしろあの赤毛を倒さなきゃならねぇんだ！この家に引きつけときゃ日が暮れる前に銃持った杉元達が来る！それまで何とか持ち堪えりゃいいだろ！」

『そげなこつ言うならお前ば外出て囮になれ！』

「オレ死んじゃうから！」

ガリっ

「いでで！」

白石は馬に頭を噛まれた

「馬の愛情表現だ。気に入られたな」

「血が出たけど…」

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