じょうもんさんば雪の上 / 参 (ページ39)

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137 ヤマシギページ39

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翌朝、ヤマシギの罠を見に行ったが2羽しか獲れておらずアシリパの機嫌が悪かった

『杉元、山菜採って来る』

「ごめんね、頼んだ」

無言で羽根をむしるアシリパの後ろで2人はコソコソと話す

Aは2人が見える位置で腹の足しになりそうな山菜を探し回る

『…ん、無いよりましか…』

がさっ

『！』
「！」

木々の向こうから姿を現したのは尾形だった

お互いそこにいた事に驚き目が合ったまま固まる

何とも言えない気まずさが漂う中、尾形の持つ3匹のヤマシギが目に入った

『おぉ、3匹も！銃で獲ったのか？』

昨日の怯えた姿とは打って変わって、嬉しそうにするAに尾形の目は丸くなる

『良かった。これでアシリパさんの機嫌が治る。早く見せに行こう』

近づく事はないが普通に話すAに眉を寄せた

「俺の事嫌いだろう？」

『…そうだが。飯とそれは関係ない』

「…そういうものか？」

『そういうもんだ。さぁ、先に行け』

少し呆れた顔をする尾形の後をAは山菜を抱えて着いていく

ドサドサっ

「「「！」」」

『見てアシリパさん。コイツ3羽も獲って来た』

「今朝また居なくなったと思ったら…散弾じゃ無いのによく撃ち落としてこれたもんだ」

牛山が褒めると鼻を鳴らし尾形は少し仰反る

「腹立つなコイツ」

「チッ…アシリパさんに無理だって言われたからムキになっちゃってさ…ハンっ」

「杉元は銃が下手くそだから妬ましいな！」

「別に！」

『そうムキになるな杉元』

「なってない！」

アシリパと目を合わせ少し笑い、皆で食事の準備を始める

「チンポ先生、ヤマシギの脳みそです」

牛山は差し出された匙の上にある脳みそに思わず黙ってしまう

杉元は遠い目をしつつも目を輝かせ慣れたように脳みそを食べる

「杉元ぉ？ヒンナだよなぁ？」

「ヒンナヒンナ」

Aはまだ数回しか食べた事が無く、渋い顔をして口を動かしていた

…アシリパさんの好物を食べないわけには…

彼女への想いだけで何とかいつも乗り越えている

「Aもヒンナだよな？」

『ヒンナだよアシリパさん』

アシリパが振り返った瞬間、完璧な笑顔を作り答える

アシリパが背を向ければAが水と共に流し込む姿に牛山と尾形は眉を寄せる

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