じょうもんさんば雪の上 / 参 (ページ38)

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ぎゅっ

小さく柔らかい手が冷たく傷だらけの手を包んだ

「Aが生きていてくれて本当に良かった」

『！？』

「私はAに出逢えて嬉しい」

アシリパは綺麗な青い瞳で見つめる

「俺もだ。Aが一緒に旅をしてくれて助かってる」

杉元は帽子の鍔に手をかけ、ニコリと笑った

『……ありがとう』

Aの瞳から溢れた一筋の涙をアシリパは優しく拭う

「白石もキロランケニシパもきっと同じだ」

『ふふ、そうやと良いな。……すまない、情けない所を見せた』

「気にするなよ」

『…複雑やけど、この傷達のお陰で私はここまで生き抜いた。この傷が2人に出逢わせてくれたなら、今だけは感謝せんとな』

どこかスッキリした顔でAは衣服を整える

『私も2人に会えて良かった』

「「！」」

3人は顔を見合わせ笑い合った

コロコロコロ…

『？』

コロコロ…

「アシリパさんの腹の音だ」

「すまない安心したらお腹が空いてしまった」

『何か獲りに行く？』

「いや、さっきヤマシギの罠を掛けてきたんだ」

『その隙にアイツが来たんか…』

「もう尾形に近づくなよ。碌な事がない」

『アイツが近づいてくるんだ』

「Aは私から離れるな」

『はいアシリパさん』

ヤマシギの罠は朝方確認する為、今晩は獲れた川魚と山菜で済ませる事になる

3人は5人分の食料を採り、野宿先へと戻ったのだった

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