じょうもんさんば雪の上 / 参 (ページ36)

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脱いだシャツを肩にかけ晒しを緩め、息がしやすくなった

だが胸部の痛みは増し、赤黒く広がる痣も酷く痛んだ

『…折れては無いな…』

肋骨を固定する様にサラシを巻き直す

ガサっ

『！』

巻き終わった瞬間に茂みが揺れた

拳銃を持ち銃口を向ける

『誰だ…出て来い』

ガサッ

もう一度茂みを揺らし出て顔を出したのは尾形だった

『……お、お前…そこで何している』

「………。」

尾形は少し罰の悪そうに髪を撫でながら姿を現す

『…まさか…覗きか…？』

「…わざとではない」

近づいてくる尾形にAは後退り睨んだ

『見るな』

「………。」

サラシを巻いただけの体をまじまじと見てくる尾形を威嚇しながら背を向ける

「…その腹の傷は新しいようだな」

『関係ない。どっか行けッ』

シャツに腕を通しながら、前を振り返る

『ッ！？』

いつの間にか音も無く至近距離にいた尾形に息が詰まった

どんっ

手首を掴まれ、背中を木に軽く打ち付けた

「随分と傷だらけだ」

尾形はシャツの裾を捲り古傷を数えるように肌をなぞる

Aが怒りで蹴りを飛ばしてくる事を予想していたが彼女は動かない

「？」

体の傷から目を逸らし顔を見る

「！」

Aはギュッと目を閉じ、歯を食いしばり震えていた

「…おい」

ビクッ

声を掛けると少し肩が跳ねる

ゆっくりと瞼が開いたがAは必死に顔を背けていた

「……。」

尾形は予想外の反応に驚きながらAから離れる

手が解放された瞬間、拳銃を持ち尾形に向けた

少し呼吸の荒いAは涙目だった

『……ッ…』

「…そんなに怒るな。少し触れ」

パァンッ

「…ただけじゃないか…」

足元に銃弾が撃ち込まれ尾形は両手を上げる

「すまない。謝るから…」

「A！大丈夫か！？」

「どうしたんだ！？」

銃声に気が付いたアシリパと杉元が走ってやって来た

シャツに腕を通しただけの姿のAが尾形に拳銃を向けているのを見て2人は驚く

「お前何をした！！」

杉元は尾形に詰め寄り胸倉を掴む

「何も」

『見られた…』

弱々しく呟きながら拳銃を下ろし、地面に座り込む

「尾形てめぇ！」

『…私に……触りやがった…』

「何やってんだ！この野郎！！」

杉元は尾形を揺さぶり怒鳴る

「杉元そいつをチンポ先生のところに置いて来い」

「分かったアシリパさん！来いこの野郎っ」

尾形は抵抗する事なく杉元に外套を引っ張られ連れて行かれた

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