じょうもんさんば雪の上 / 参 (ページ32)

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翌日、A、尾形、土方、家永以外の面子は炭鉱へ戻り入れ墨人皮や月島の遺体が見つかっていないか捜索に行った

…月島さん助けた事は墓場まで持っていこ…

肋骨にヒビが入ったであろうAはアシリパに外出禁止令を出され不貞腐れていた

上半身の皮を剥がされた6人の人間の剥製達と共に椅子に座り、苦い薬茶を飲んでいた

『…偽物の見分け方……剥製…革……、濡らすとか…？』

「にゃ〜」

『お？猫ちゃん』

江渡貝が飼っていた猫が机の上に登りAにすり寄った

『…1人にしてしまってごめんね』

救えなかった江渡貝を思い出し目を伏せた

「にゃ〜」

「ここに居たのか」

ゴロゴロと喉を鳴らす猫を撫でていると土方が現れた

『あ、どうも…』

「そう身構えるな」

猫が土方の方へ行ってしまいAの手は空を撫でる

猫を撫でる土方から目を逸らし、薬茶をひと口含む

『……何ですか？』

「体調はどうだ？」

『このくらい平気です。皆が居ない中で呑気に寝てられる程馬鹿じゃない』

置いて行かれた事にムスっとするAに土方は微笑んだ

『……何ですか？』

眉を寄せ同じ質問を返す

「…お嬢さんは何故この旅をしている。金塊目当てでは無いだろう。あの子の為か？」

『教えませんよ』

威圧感のある土方の質問にAは片眉を上げ答えた

『……なんて…。本当は大した答えが無いから言えないだけです』

Aはヘラっと笑って薬茶を飲み干した

『そげんこつより、偽もんの見分け方ば……、あ、いかん…』

思わず出てしまった方言に気づき、口を手で押さえ土方を見る

土方は面白そうに微笑み、Aに近づく

『！』

椅子に座るAの頭の上に手を置き、少し屈んで視線を合わせる

「…強い子だ」

『？』

話に聞いた医術力の高さや昨晩の動き、そしてこの動じない瞳に土方は感心していた

「鶴見中尉が欲しがる理由が分かった」

『げ、やめて下さい』

「では私の元に来ないか？」

優しく笑う土方にAは少し目を開く

『…昔遊んでましたね？……今の顔はいかん。女も男も落ちる』

「おや？お嬢さんはどうかな？」

『……どうだと思います？』

「私に溺れてくれると嬉しいが」

『！』

ポンポンと頭を撫でる土方にAは耳が少し赤くなる

『あー、またそう言う事言って…』

「何をいちゃついている」

その声に部屋の入り口を見ると尾形が立っていた

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