じょうもんさんば雪の上 / 参 (ページ31)

今日:17 hit、昨日:60 hit、合計:52,684 hit

129 ページ31

．

「A大丈夫か？いつもと様子がおかしい」

「本当だぜ、いつもはもっと冷たいのに…」

「それはお前にだけだぜ白石」

「クーン」

キロランケはAの額に触れる

「あぁ、こりゃ酷い熱だ…。それに確か骨折れてるだろ」

『…ヒビが入ったぐらいやけん大丈夫』

「大丈夫じゃない。アシリパに怒られるぞ」

『…大人しく寝ます…』

Aは立ち上がり部屋に戻ろうとトボトボ歩く

「アシリパさんも良いか？」

寝てしまったアシリパを抱えた杉元もついてくる

大部屋の入口で振り返り、Aは頭を軽く下げた

『…せからしくて申し訳ない』

特に土方に向かって言い、もう一度頭を下げた

『それと…、月島さんの事なんだが』

全員に緊張が走る

『確かに途中まで一緒やった。お互い意識が朦朧としてて……。1人で通風口に突っ込んだのは覚えとるがその後は分からん』

「…本当か？」

『自分の事で精一杯だったからな』

「フン、ならば逃げ延びてる確率が高いな」

しつこく疑いの目を向けてくる尾形

「何故あの時、月島軍曹の方へ走っていった？」

一人一人の視線がAに突き刺さる

『…いや、無理矢理トロッコに乗せた知らん男より軍人で顔見知りの月島さんの方が安全やと思って』

Aが尾形を睨むと皆も睨んだ

『とにかく、お前の事はいっちょん好かん』

笑顔で言うAに尾形は少し面を食らう

『お休みなさい』

皆に挨拶してフラフラと部屋に戻ったのだった

．