じょうもんさんば雪の上 / 参 (ページ30)

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Aは家永の作った食事を食べつつ、アシリパに煎じて貰った苦い薬茶を飲んでいく

「Aちゃん馴染みすぎじゃない？」

『女はこんなもんだ』

「ええ、そうですね」

「そいつ中身おっさんだぜ？」

『気にするな』

「アシリパさん。A熱あるんじゃないの？大丈夫？」

「んん…本人がな…寝てくれないんだ」

『私よりアシリパさんの方が眠そうやね』

「あれ？お眠なのぉ？」

杉元がアシリパを揺すっている間にAは牛山と尾形の間の席に腰を下ろした

「おいA！そんなところ座ったら危ないぞ」

キロランケに止められるが気にせずAは牛山を見た

『先生』

牛山は女と知ってから興奮がおさまらなかった

だが、紳士の牛山

Aを視界に入れないようにと必死に逸らしていた

『先生？』

「…ん？」

『運んでくれてありがとうございます』

「！！」

袖口をくいっと引っ張られ、思わず下げた目線

牛山の角度からでは晒しを巻いていないAの谷間が丸見えだった

髪を耳にかけ少し照れながら言うAは周りから見ても可愛さが溢れていた

牛山はプシューっと鼻息を立て理性失い、接吻しようと腕を伸ばす

ガタン

Aは分かっていたと言うように椅子を蹴り飛ばし、しゃがんで避けた

そして、牛山の背後にあった剥製の人形を身代わりに差し出した

『アハハッ』

牛山が人形と接吻するのを見て笑い、キロランケの後ろに隠れた

誰もがその素早い動きに唖然とする

「ほう、良い動きだ」

土方歳三だけがその動きを褒めた

隣にいた尾形はAを引っ張ろうと伸ばした手がそのままだった

「危ないと言ったろ。それに前は締めなさい」

『はい、キロランケ』

白石と杉元にも愚痴愚痴言われながらキロランケの隣に座る

シャツを閉めるAと尾形は目が合った

『きさん…毒ば盛っちゃる…』

笑顔を無くし思い切り睨む

尾形はトロッコで見た笑顔と今の顔の差に眉を寄せたのだった

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