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月島が去った後、Aは朦朧としながらアシリパ達を探し彷徨っていた
…あー、いかん、頭が……
地元の人達に手を貸そうかと言われるも肋骨が痛む為下手に触れられるのが嫌で断り続けていた
…ダメや…もう…立っとられん…
膝をつき四つん這いになり、さっき飲んだ水を嘔吐する
「ーー！ーー、Aッ！！」
『…？』
顔を上げるとそこには綺麗な青い瞳があった
『アシ…リパ…さん…？』
「そうだ！私だぞ！Aしっかししろ！」
「Aッ！！」
「Aちゃん！」
「意識はあるかッ！？」
続々と集まる仲間達にAは笑った
『…よか…た』
杉元と白石も無事に脱出していた事に安心する
「体が熱いッ、骨が折れてるんだ！頭も！血が止まってないぞ！？」
アシリパは傷口を抑え焦った
「この子破裂の中心部からで出来たんだッ」
「なんだとッ！？」
地元民が顔を青くしながら言う言葉にアシリパ達は息を呑んだ
「早く運ぶぞ！」
「俺に任せろ！いい場所があるッ」
後ろからやって来た牛山は軽々とAを横抱きにし走り出した
「おい待て！」
「どこ連れてくんだ！！」
「良いからお前らも着いて来い！」
『…あ、れ……、先、せぇ…？』
「兄ちゃ…いや、嬢ちゃん。少し辛抱しろよ」
走っているが全く揺れのない牛山の腕の中でAは意識を失った
牛山に連れて来られた場所は江渡貝の家だった
「お前ら入ってくるなよ！」
アシリパは部屋から男達を追い出し、ベッドに寝かされAのシャツのボタンを解いた
「…っ…」
そこには今回出来た傷とは別に辺見に付けられた傷や、沢山の古傷が残っていた
胸を締め付けている晒しを外せば、いくらか呼吸が楽になったようだった
預かっていた荷物から薬草を取り出し、止血や火傷跡に油を塗ったり、出来る処置は全て施した
衣服を直して眠るAの髪を撫でる
「…帽子、買わないとな…」
見つけた時には帽子はかぶっておらず、所々髪が熱風で焼けていた
「…どうせ誰かを助けるために飛び込んだんだろう…」
寂しい笑顔を浮かべアシリパは部屋を出た
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作者名：げん | 作成日時：2022年11月3日 17時
