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意識を手放しそうな月島を肩に背負いAは進んだ
…お、重すぎる…ちから…入らん…
煙が外に吸い込まれていく場所を見つけ、月島を煙の少ない場所へ寝かせる
短剣を抜き、小さな通風口に集まる黒煙の中に息を止め飛び込んだ
思い切り腕を伸ばし短剣を力の限り振り回す
「おい！誰かいるぞ！！手を貸せぇ！！」
「今出すからな！後少し頑張れ！！」
炭鉱の人達が黒煙の中、キラキラと反射する短剣に気付いた
…よ、良かった……
Aは月島を背負い、崩れていく壁に体を寄せていた
「大丈夫かっ！！？」
人が通れる大きさになり地元の人達に助けられ、無事に外へ出る事が出来た
肺に入り込んでくる酸素に身体中が悲鳴をあげる
『ゴホッ、ゴホッッ』
Aは咳き込みながら、未だ意識がハッキリしない月島の胸を叩いた
「ゲホッ！」
何とか意識が戻った月島は酸素を吸い込んだ
「お前ら！水を飲め！」
炭鉱の人に出された水を偽の刺墨人皮が入った鞄を挟んだ状態でゴクゴクと飲みほした
2人とも息が荒く喉も焼け上手く話せず、無言で睨みあう
すっ
「！？」
Aは反対方向をそっと指差し、早く逃げろと促した
どてっ
片手をヒラヒラさせ、ヘラッと笑うAはそのまま後ろに倒れた
「ゲホッゲホッ！」
月島は声を掛けようとしたが咳しか出なかった
寝転がるAは片腕を上げ、追い払うように手を動かした
そんな彼女の様子に月島は小さく笑い、頭を下げた
「…かん…しゃ……する…」
掠れた声でそう言えばAも笑ったのだった
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作者名：げん | 作成日時：2022年11月3日 17時
