じょうもんさんば雪の上 / 参 (ページ19)

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『……キロランケは奥さんと子供達が心配じゃないのか？』

「そうだ。そろそろ畑を耕すのに馬が必要な時期だろ？」

「あの村にはアイツの義兄弟が沢山いるし働き者で強い女だから子供達も任せられる」

キロランケは村の家族に思いを馳せながら穏やかに応えた

「ここにいる子供達の方が心配だしな」

ポンと頭に手を置かれたA

『う〜ん、子供か…』

20程の歳の差に内心不貞腐れた

「…というか何だその顔」

白石は杉元の顔に巻かれた包帯を見る

「ヨモギとか熊の油だ。アシリパさんに毎日塗られる。俺は傷なんてどうだって良いんだけど…」
　
「傷が増える前の顔が気に入ってたのかな？」

キロランケはアシリパをチラッと見た

『その傷が残ったら、焼き茄子が頭から離れんくなる』

「俺が言ったの覚えてるんだ〜」

『しゃーしか。お前のせいやぞ』

「えぇ〜……。まぁ、確かに元々モテそうな顔ではあるよな。流石に結婚はしてないんだろ？地元にいい人くらいはいるんじゃねぇのか？」

杉元は何も答えなかった

「あれ？否定しないね？ひょっとして金塊が欲しいのもその女が関係してんのかい？」

「シライシもういいだろその話は」

『だからモテないんだ白石は』

アシリパが起きている事に気づいたキロランケとAは話を逸らす

「そう言うAちゃんはどうなの？杉元より若いけど女の子なら結婚相手とか決まってたんじゃないの？」

ニヤつく白石の質問にAは黙った

「おい白石！本当馬鹿だなお前！」

「へ？気に障った？ごめんね！？」

『……そうゆうのが嫌やけん戦争に出たと』

Aはそう呟いてアシリパの隣に移動する

黙ってしまった3人を見た

『もう寝よう。おやすみ』

アシリパの隣で横になり眠りについたのだった

翌朝早く起き、乾かしていた薬草達を片付けていると家の中からアシリパが白石を叩き起こす声が聞こえた

『…やっぱ昨日の聞こえとったかな…』

昨晩の会話を思い出し早く白石を黙らせれば良かったと反省する

「Aここに居たのか」

『おはようアシリパさん』

「…Aは…」

『ん？』

「いいや、何でもない」

『私は皆と、アシリパさんと一緒におる時間が好いとるよ』

「！」

『食事が1番楽しかね』

「そうか！私もだ！フフフっ」

2人で笑っていると準備が済み全員が集まってきた

杉元と白石は機嫌が良くなっているアシリパを見て安心したのだった

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