じょうもんさんば雪の上 / 参 (ページ17)

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ダンの屋敷に戻り、無事にアザラシの衣服を返して貰う事が出来た

アシリパが壁に飾ってあった立派な弓を見ているとダンがお礼として譲ってくれた

「代わりと言っては何だが…あの親分の下半身の入れ墨剥いでいく理由を聞かせてくれないか？」

「ダンさんアンタ悪い人じゃなさそうだから忠告するが、知らない方がいい。入れ墨に関われば命を失うぞ」

「……面白いものを見せよう」

そうしてダンが出したのは不気味な本だった

「う、ちょっと待てこれ…人間の皮膚が張ってあるのか…？」

『気持ち悪か…』

Aは人の顔で出来た本から目を逸らす

この本はヒグマに殺された従業員が手に入れダンが買い取ったらしく、炭鉱町の夕張にいる男が作ったものだという

泥棒が夕張のある家に忍び込み盗んだもので、その家には奇妙な入れ墨の皮もあったという噂があるらしい

ダンの話を聞き次の目的地は夕張と決まったが杉元の顔の傷もある為、少しの間日高の村に滞在する事になった

杉元とアシリパは山に山菜を採りに出かけ、キロランケと白石は川にサクラマスを獲りに出かけた

Aは1人薬草を集めに山に入る

雪の溶けた山は歩きやすくとても過ごしやすい

ヨモギを沢山摘み沼地や川辺でガマを摘み取る

ギョウジャニンニクの新芽を食べながら鱗茎部を集めた

乾燥させ煎じて飲めば食欲不振や便秘、疲労回復に使えるのだ

『今度酒に漬けてみるかな』

白石に苦い薬酒を飲ませようとAはニヤついた

次にフキとフキノトウを摘んでいく

『よし、早めに戻って乾燥させんとな』

沢山の薬草を抱えAは村に戻った

火を起こし薬草を広げ乾燥させたり潰したりしていると皆が戻ってくるのが見えた

「ああ〜ッ杉元フキ食べたデショ」

「白石も食べたね？」

お互いに黒くなった口周りを見て笑う

「アシリパちゃんも……ぇえ〜〜？それ…うそ〜？どうして〜〜？」

目の周り以外真っ黒になっているアシリパの顔に白石は困惑した

「アシリパちゃん食べ過ぎ〜」

アハハと和やなか雰囲気をAも笑いながら見ていた

「あ！Aちゃん！」

「Aはフキ食べてないのか？」

アシリパと白石が駆け寄って来た

『うん、食べとらん』

「えぇ〜美味しかったのに〜」

『ギョウジャニンニクで満足したと』

「美味しいよな〜」

『フフ、アシリパさんなんでそげん汚れたん？』

アシリパの真っ黒になった可愛らしい顔に笑いが止まらなかった

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