じょうもんさんば雪の上 / 参 (ページ16)

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「まだ1頭いるぞ！！」

全員が急いで鉄で出来た馬車に乗り込んだ

流石に大人7人も乗れば速度が遅くなり、ヒグマに追いつかれそうになった

「ヒグマの足はもっと速い。毒が効いて走れなくなってきたんだ」

アシリパの言葉にこのまま走り続ければ逃げ切れると確信し、ひとつ息をついた

カタッ

小さな音が聞こえAは背後を見る

仲沢が鉄馬車から落ちて行く若山の長ドスに手を伸ばしていた

『危ないっ』

Aは仲沢を支えようと手を伸ばす

ガタンっ

『「！」』

2人の体は浮遊感に襲われる

…落ちるっ！

ガシッ

『！！』

ドシャっ

仲沢が目の前で馬車から落ち地面を転がった

「あっぶねぇ！！」

「A！」

Aはキロランケと杉元に体を捕まれ、ギリギリで落ちる事はなかった

「姫ッ！」

Aがキロランケに引き寄せられた瞬間、若山は鉄馬車から飛び降りた

「あうぐうううッ！」

ヒグマに追いつかれた仲沢は首を噛まれ爪で引き裂かれる

「姫ッ！うおおおお！」

若山はドスを拾い上げ、ヒグマの手を切り落とす

爪で腹を抉られるもドスを突き刺し鼻を切り落とした

流石に怯んだヒグマは逃げようと背を向ける

「今更逃げんのかよオイッ！」

ドスを逃げるヒグマの肛門に突き刺し若山は膝をつく

「肛門処女喪失だぜ…」

しばらく歩いたヒグマも力尽き倒れた

若山は仲沢の側に移動し横になる

「姫…」

「ざまあみろ親分…もう私に隠れて浮気出来ないね…私と一緒に死んじゃうもんね…これで私は親分の最後のひとだからね…」

「バカ野郎ッ…」

空が美しい夕日に染まる中、2人は繋いだまま眠りについた

「皮剥いでくる」

そんな2人をA以外の4人は冷たい目で見ていたのだった

愛する人と共に亡くなった2人を見て両親を思い出した

親もこんなふうに幸せな心中をしたのだろうか
それはわざわざ子供を捨ててまでする事だろうか

ずっと考えス続けている答えの見つからない疑問が次々に溢れ出す

何でその心中に私は入れて貰えんかったのやろう…

『…いいな』

「A？」

思わず出てしまった声
隣に座るキロランケが不思議そうに見ていた

『あー、あれだ。あの不潔野郎のドスだよ。ばり切れ味良かったけん…貰おうかな〜なんて』

「絶対ダメだぞ」

「Aダメだぞ」

「ダメだからね」

『冗談やって…』

キロランケだけでなく白石やアシリパにも真顔で言われAは苦笑いをするしかなかった

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