じょうもんさんば雪の上 / 参 (ページ15)

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亡くなった従業員の遺体を裏口からそっと出し、ヒグマが食いつくのを待った

『囮にして申し訳ない…』

Aは小さく呟き手を合わせる

ヒグマが遺体に食いついた瞬間、杉元が窓から毒槍を突き刺した

「毒が弱いから直ぐには死なない！もう一本打ち込め！」

だがすぐに反撃してきたヒグマにもう一撃を加える事は叶わなかった

ミシミシっ

「！？」

「嘘だろ！もう一頭が2階に侵入してきたぞ！」

2階から入ってきヒグマは既に階段のところまで来ていた

キロランケと杉元が槍で反撃するがヒグマは怯まない

白石と仲沢が表を塞いでいた物を急いで退かす

『！』

Aは若山の刀が落ちているのを見つけ手に取った

『杉元退けッ！』

「！」

『だぁぁあッ』

スパッ

ボドっ

全体重を掛け、杉元に伸ばしていたヒグマの手を切り落とす

怯んだヒグマは2階に後退り顔を隠した

「す、すげぇ…」

「今のうちだ！杉元先に行け！」

『仲沢さん！これちょっと借りた！』

「親分の長ドスっ！」

仲沢は投げられたドスを抱きしめる

「白石！馬を連れて行け！」

入口を開けた白石は馬を逃しアシリパを連れ外に出る

杉元も涙する仲沢を連れ走った

「Aも行け！」

『キロランケも行こう！』

キロランケの腕を引き、再び出て来たヒグマに拳銃で威嚇する

「姫ぇ〜〜〜！！！」

外から若山の声と聞きなれない車輪の音が聞こえた

「おやぶぅん！！？」

頭の中に＂姫！？＂という疑問を浮かべながらもキロランケとAは外に出た

「赤毛が出てくるぞ！」

「伏せろ！キロランケ！」

『！？』

正面を見ると鉄の馬車に乗るエディー・ダンとコチラに機関銃を構える若山が居た

「Aッ！」

キロランケはAの背を押して覆い被さった

ドドドドっ

背後から迫るヒグマに機関銃は火を吹いた

『…ッッ』

真上を飛んでいく銃弾に肝を冷やすが、それより力強く地面に押さえられ息が止まりそうだった

「チッ弾切れだぜ」

銃声が止まりヒグマを見れば絶命していた

「行くぞっ！」

キロランケに腕を引かれ無理矢理立ち上がる

潰れていた肺に酸素を取り込みながら、速まる心臓を落ち着かせ鉄の馬車へと走った

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