110 ページ12
．
「おやぶぅん」
『元気出して』
「お兄さん、優しいっ」
置いて行かれた仲沢は悲しそうに泣いていた
バキバキっ
戸が壊れる音がして振り向けばヒグマは既に屋内へと侵入してきた
若山が1匹引き連れて逃げた為、今この場に残るのは2匹のヒグマ
「アシリパ、A下がれ」
キロランケが2人を後ろに下げた瞬間、杉元の銃が鳴る
1発2発と撃ち込むがヒグマは立ち上がり、杉元に襲い掛かる
「俺は不死身の杉元だ！！」
銃口をヒグマの口に突っ込み弾を撃ち込む
だが、その拍子にヒグマの爪が杉元の顔を切り裂いた
「杉元ッ！」
それでも引かず杉元は更に2発口の中に撃ち込んだ
ヒグマが絶命したのを確認し、キロランケと白石はこじ開けられた戸を閉じる為に家の柱を切り取り始めた
Aとアシリパはヒグマの油を摂るために手分して捌く
杉元は顔から血を流しながら仲沢のズボンを脱がせていた
「やだぁ！やめてください！」
「いいからケツ見せろ」
そのお尻刻まれていたのは金塊の入れ墨ではなかった
「テメェは普通のモンモンか！さっさと汚ねぇケツをしまいな！！」
バチンっ
「ひゃん！親分はいいケツだって言ってくれたよぉ、ちくびだって色っぽいって言ってくれたんだよぉおやぶぅん！」
「まさか下半身に入れ墨が入ってたとはな…上半身がからくりもんもんで埋まってたからか？…早くここから出ないとあの親分はヒグマに…」
「おやぶぅ〜ん！」
『こら！仲沢さんを泣かすな！』
「ウソウソもう泣くな大丈夫だよ。あの親分なら何とか逃げれてるさ。タダでは死にそうにねぇもん」
「ヒックヒックそうですよねえ？」
仲沢は杉元の優しさに泣き止んだ
「杉元その顔…隠し包丁入れた焼き茄子みたいになってんじゃん…」
「ヒグマに襲われた傷は不思議と化膿せず直ぐに治ると私たちの間では言われている」
『油の前に止血しとこう。杉元こっち来て座れ』
アシリパが網脂を湯煎し油を取っている間に出来る処置を行う
．
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 151人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：げん | 作成日時：2022年11月3日 17時
