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「とにかく札幌の可愛子ちゃんが言うには、その男は日高に行ってダンという名のアメリカ人に会うと言っていたらしいぜ！」
白石が言い切った所で突然道産子は走り出す
「なんで走るの！？とまってぇ！！」
あっという間に皆を追い越して先へ行ってしまった
『……。』
「何だ、まだ怒っているのか？」
『別に初めから怒っとらんよ』
「Aは白石に懐いてたもんなぁ」
「でももう許してやってはどうだ？アイツも反省していた事だし…今回はあの女が悪いんだ」
アシリパはインカラマッを思い出して少し嫌そうな顔をする
『金にだらしないのは知っとったばってん…なんか凄い幻滅したとよ…』
「……嫉妬か？」
キロランケは恐る恐る聞いた
杉元とアシリパもこちらを見ている
『嫉妬？ん〜……そうかもしらんな』
「「「え？？」」」
『ハハハっ』
驚く3人を見て笑うAの真理は分からなかった
村へ着けばアシリパの大叔母さんが出迎えてくれた
「見てほらトッカリが獲れたんだ」
「肉と皮ですよお婆ちゃん」
杉元がアザラシを渡そうとするとお婆ちゃんは泣き始めてしまった
「あ、あれ？泣いちゃったけど…」
「何かあったのか？」
泣いているお婆ちゃんから話を聞く為、一行は家の中に入り腰を落ち着けた
「フチ達の家には母親から代々譲り受け継がれてきた大切な宝物があったそうだ。何頭ものアザラシの皮を使って作られた手の込んだ衣服で自分の娘が結婚した時にも譲ったけど……。酒と博打癖のある義理の息子がその服をたったの30円で人に売って何処かへ逃げてしまった」
「ひどい…許せない」
アシリパの話を聞いて呟く白石をAは静かに睨んだ
「フチの家に伝わっていたものなら私にとっても大切なものだ。私が買い戻してくる」
「そんなお金あるのぉ？」
白石は口を尖らせアシリパに尋ねる
馬券が1枚当たっており5円が37円になった事をアシリパは白石に黙っていた
『黙ってろクソ坊主』
「はい…」
「杉元、いいだろうか？」
「勿論だろ。ほっとけるかよ」
『私の金も使ってくれ』
「ありがとう2人共」
「それで？誰に売ったんだ？」
「この近くで牧場を経営するエディー・ダンと言うアメリカ人だそうだ」
「「！」」
囚人の情報と繋がり、翌朝直ぐに出発する事になった
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作者名：げん | 作成日時：2022年11月3日 17時
