78 ページ27
．
次にキロランケはAを見た
「姉分のAだ」
「姉？」
「そうだ。そしてこっちが役立たずの白石」
「ま、待て、そこの彼は…姉分なのか？」
「あっ」
アシリパはしまったという顔でAを見た
『ハハっ…』
「そうか女性だったのか…。すまない煙草を吸わせてしまった」
『いえいえ！大丈夫ですから！』
ぶんぶんと手を振るAにキロランケは申し訳無さそうに笑いキセルを咥えなおす
「…アシリパが信用しているなら大丈夫だな。今よりもっと小さい頃から恐ろしく賢い子供だったからな。最後に会ったのはお前の父親の葬儀か…」
「戦争から帰ってきていたなら会いに来てくれれば良かったのに」
「行ったけどお前はいつも村に居ないと聞いたぞ。だから俺はここで待っていた。アシリパに伝える事があるのだ」
キロランケはキセルを置き、姿勢を正す
「年老いた和人が俺の村に来た。その老人はある女性を探していると言っていた。…胡蝶辺明日子」
「！！…どうしてその名を…。私の和名だ…！知っているのは死んだ母と父だけなのにッ」
「網走監獄で起きた事俺は既に知っていた。のっぺらぼうは自分の外の仲間に囚人が接触出来るヒントを与えていた。��小樽にいる胡蝶辺明日子��。のっぺらぼうはアシリパに金塊を託そうとしていたのだ」
キロランケは呼吸を整えアシリパを見つめる
「のっぺらぼうはアシリパの父親だ」
アシリパは衝撃を受け目を見開いた
Aは震える彼女の肩をそっと抱き寄せる
「アチャが…アイヌを殺して金塊を奪うなんて…そんなの嘘だ…」
「何でアンタはアシリパさんの和名を知っている」
「俺はアシリパの父と一緒に日本へ来た」
衝撃的な話を聞き困惑するも状況を整理する
「金塊が見つかればのっぺらぼうが死刑になってアシリパさんは父親の仇がとれると思っていたが…」
『金塊が見つかればアシリパさんの父さんが死刑になってしまうのか…』
「関係ねぇよ。俺たちが他より先に見つけてしまえばいい事だろ？どかっといっぺんに換金しない限りバレねぇよ」
「信じない。自分の目で確かめるまでは…。私はのっぺらぼうに会いに行く」
アシリパの強い意志に皆言葉を飲み込んだ
．
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 162人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
げん(プロフ) - おパブロで。さん» ウホッ！嬉しすぎます！ありがとうございます！お陰で妄想が捗りますッ更新頑張ります！ (2022年10月24日 0時) (
レス) id: 07dac0a979 (このIDを非表示/違反報告)
おパブロで。 - ウホ？ウホホッ？（発作）これまた良小説が…、設定から何から大好きすぎるのだよ…更新楽しみ過ぎて吐きそう…ッ (2022年10月13日 20時) (レス) @page9 id: e2ea27c298 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：げん | 作成日時：2022年10月8日 0時
