*中也さんと「混合酒」 ページ1
その任務は、とても強い彼の唯一の弱点を的確に突くようなものだった______
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いつもとは違う装いから普段着へと着替えた彼、中也くんがため息を交えながら教えてくれた今日の「お仕事」
疲れた〜と嘆きながら医務室のベットに寝っ転がった中也くんに苦笑しながら、彼の脱いだ上着をハンガーへとかける。
「聞いてねぇよ、ターゲットのご令嬢が酒豪だなんて」
お陰で芥川が助けに来るまで混合酒を飲まされ続けたのだと少し顔の赤い彼が愚痴る。
仲間内では知れ渡っていることだが、彼は酒にめっぽう弱い、何なら私よりも弱い。
彼自身は酒を好んで飲むようだが、宴会の場などでは彼の飲む量を調整しないと後々酔いつぶれた彼を背負って帰ることになる。
今回のターゲットが酒豪だったということは、酔った相手から情報を聞き出す前に自分が酔いつぶれてしまいかけたのだろう...まさに危機一髪、助けに来てくれた芥川くんにはお礼をしておかなければ。
おまけに彼が飲まされたのは混合酒...普段飲み慣れた葡萄酒とは違うそれに体がうまく馴染まなかったのだろう、あっという間に酔ってしまったそうだ。
「そういやお前も好きだったよな、混合酒」
「え?...あぁ、割と飲むかもしれないわね。でもそもそも私はお酒をあまり飲まないから」
「お前も酒弱いんだっけか」
「うん、次の日に響いちゃうんだよね」
もちろん付き合いで飲むことはあるが、一定の量を超えると次の日頭痛と吐き気で死にそうになる。
(成人してからそれなりに経つけど、未だに二日酔いというやつには慣れないなぁ)
ベッドで呻き声を上げている彼も明日にはほぼほぼ二日酔いコースだろう、可哀想に。
憐れみを含んだ視線を投げかけると流石はマフィア幹部、すぐに気が付き不機嫌そうな顔で何憐れんでんだとお叱りを飛ばして来た。
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作者名:朔麻 | 作成日時:2019年5月26日 23時