GREEN5 ページ19
無理矢理な誘い方だったろうか。
私の部屋で、黙々と林檎の皮を剥いてるシャルさんを見てそう思った。でも、何か理由がないとシャルさんは来てくれない気がして。ナイフによって、赤い紐ができて行くのを見つめた。
別に怒りが収まったわけじゃない。
ピッキングしたり、私の絵を金呼ばわりした事への苛立ちはまだある。でも、パクさんはシャルさんのことを私より知っているはずだ。そのパクさんが、敢えて私たちを二人きりにした。
結局のところ、私はシャルさんのことを何も知らない。
林檎の皮を半分剥き終えた彼の手が止まる。
｢Aってさ｣
林檎がガシャンと音を立てて皿の上に落ちた。
｢オレが何かするとか思わなかったの？｣
私の鼻先に向けられた果物ナイフ。しかし、それより私の肌を刺激する彼の視線の方が、酷く恐ろしいものだった。でも、恐ろしいだけで、そこにそれ以上のものは感じられない。
｢脅し？｣
｢本気だけど｣
｢あー、それはダウトだわ｣
｢……なんでそう思うんだよ｣
｢私を殺したらクロロが黙ってないでしょ？｣
｢……それだけ？｣
｢んー、あとは勘かな｣
恐ろしいけど、怖くない。何というか、彼の向けるその視線にもナイフにも中身が感じられないのだ。まるで、脅しを受けているような、そんな。
｢はぁぁぁ｣と、無駄に長い溜息が部屋に充満する。そして、再び林檎を手に持ち皮を剥き始めた。その顔には"つまらない"と書かれている。そのくらい、力が無かった。
｢クロロにもよくそういう顔されるんだよねぇ｣
｢だって、なんか毒気抜かれるんだよ｣
皮が円を描きながら皿の上に収まっている。瑞々しいそれをさらに小さく切っていきながら、｢……ホント、Aが嫌いなわけじゃないから｣独り言かと思うほど輪郭のない声がした。
｢嫌いじゃないなら、｣｢特別って｣
なんで、という言葉を遮られた。まるで声も言葉も散乱しているように、シャルの発する全てに形が無いように聞こえる。きっと意味しかないのに、意味が無いように聞こえる。
｢なろうとしてなれるものじゃないだろ｣
｢金になんてそんな興味無いし、さっきのは君を怒らせる為だけに言ったんだ。オレもたまーに、嘘みたいに一般人らしくなっちゃうから……
はい！林檎どーぞ！｣
｢えっ、あ、もうできたんだ｣
分かりやすく話を中断したシャルにそれ以上の追求はできない。敢えて核心を避けていたようだった。でも、言いたいことは分かる気がしたんだ。
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まどろみ(プロフ) - あかあお、、みどり？？さん» 確かに！色じゃなくて光の三原色でした<(_ _)>わざわざありがとうございます！直します！ (2019年4月2日 22時) (
レス) id: 2cd0a82a72 (このIDを非表示/違反報告)
あかあお、、みどり？？ - 色の三原色って赤、青、黄じゃなかったですか？ (2019年3月31日 19時) (レス) id: 8b40cac6e3 (このIDを非表示/違反報告)
まどろみ(プロフ) - mikki-さん» あー！ありがとうございますっ！もっと上手に書けるよう今後も精進します(><) (2019年3月29日 21時) (レス) id: 2cd0a82a72 (このIDを非表示/違反報告)
mikki-(プロフ) - このどこか飄々として読めない夢主が好きです！幻影旅団も好きです！！その他にも文の書き方とか全てが好きです！頑張ってくださいね！ (2019年3月29日 19時) (レス) id: df35f93799 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：まどろみ | 作成日時：2019年3月26日 23時
