GREEN4 ページ18
ドアの前を陣取るシャルさんを冷ややかな目で見る。私、しつこい男って嫌いなんだけど。隠すつもりも無かったから、考えが顔に出ていたんだろう。シャルさんの含み笑いに、眉を寄せる。
｢シャルさん、私のことあんま好きじゃないでしょ？｣
｢えー、そんなことないよ？君の絵ってお金になるし｣
聞き捨てならない言葉に、つい目に角を立てる。しかし、｢答えないと出られないよ？｣そう言って、私に反撃の間すら与えず、彼は楽しそうにドアへ寄りかかった。嫌な緊迫感が漂う空間で、小さく息を吐き出しやり過ごす。
｢目の色、でしたっけ｣
｢そうそう｣
｢……これはとても簡単な問題ですね｣
彼の大きな瞳を見つめる。思いがけないことだったのか、シャルさんの表情が一瞬固まった。形勢逆転だ。今度は私が、クスリと余裕の笑みを見せる。数歩下がり、カウンターにあったバスケットに手を伸ばす。果物が盛り付けられたガラス製のそれから、真っ赤な林檎を手に取った。
｢私の目は、赤や緑をうまく認識できません。ですから、皆さんの見ている色で言うところの"黄色"や"青色"が、視界のほとんどなんです｣
例えば絵の具で紫色を作るとする。赤と青を混ぜれば紫色になるのは、子供でも知っていることだ。でも、私の目は赤色を認識出来ない。
すると、私から見た紫色は赤の抜けた、ただの青色にしか見えない。赤と緑の区別が難しいように、青と紫も、見分けるのに苦労することが多いのだ。
｢シャルさんの瞳は、大きな区分で言えば緑です。通常のグリーンであれば、見分けるのは難しかったかもしれません｣
緑と言っても、その数は何百色とある。その中でも比較的見分けやすい色が、シャルさんの瞳の色だ。通常のグリーンよりも僅かに青みがかったその色。
｢貴方の瞳は、エメラルドグリーンです｣
金髪にエメラルドグリーンの瞳とは、これまた随分芸術的な組み合わせだ。幻影旅団ってのは、どうしてこう顔の整った人間が多いんだろう。力も金も美も持っていて、絶対に描きたくない集団。
｢仮にも画家である私に、このクイズは選択ミスでしたね｣
｢たしかに、ちょっと勉強不足だったかなぁ｣
｢それじゃあ、通らせてください｣
素直に動いたのは意外だ。こういう所は潔いらしい。壁に寄りかかって、ボーッと天井を見ている。……持っていた林檎を押し付けた。
｢え、ちょ、何これ林檎？｣
｢私、生活力無いの。林檎の皮剥いてくれない？｣
｢……ああ、うん｣
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まどろみ(プロフ) - あかあお、、みどり？？さん» 確かに！色じゃなくて光の三原色でした<(_ _)>わざわざありがとうございます！直します！ (2019年4月2日 22時) (
レス) id: 2cd0a82a72 (このIDを非表示/違反報告)
あかあお、、みどり？？ - 色の三原色って赤、青、黄じゃなかったですか？ (2019年3月31日 19時) (レス) id: 8b40cac6e3 (このIDを非表示/違反報告)
まどろみ(プロフ) - mikki-さん» あー！ありがとうございますっ！もっと上手に書けるよう今後も精進します(><) (2019年3月29日 21時) (レス) id: 2cd0a82a72 (このIDを非表示/違反報告)
mikki-(プロフ) - このどこか飄々として読めない夢主が好きです！幻影旅団も好きです！！その他にも文の書き方とか全てが好きです！頑張ってくださいね！ (2019年3月29日 19時) (レス) id: df35f93799 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：まどろみ | 作成日時：2019年3月26日 23時
