私は全力で中也の片思いの邪魔をする【文スト】【中原中也】

逃げてしまった ページ37

Aside

　ヤバイかもしれない。

　僕、恥ずかしくて死ぬ！ 控えめに云っても死ぬ！ ただ、一緒にお茶をしてただけなのに。エリスちゃんが変な事云うから。
　……人のせいにするのは良くないか。

「どうして僕は、こんなに動揺しているの」

　それがわからない。

「ナオミ」
「兄様っ」

　語尾にはハートマークも付いている。お兄様と呼んでいるので、兄妹なのだろう。けど、仲良さそうに腕を組んでいる。

(僕も、あんな風になりたいの……？)

　そんな欲はない。僕はただ、治と中也と居られればそれで善いんだ。

「はぁ……」

　着物は動きにくい。やっぱりこんなもの……着てくるんじゃなかった。
　こんな可愛らしいもの、僕が着たって意味がない。
　治やエリスちゃんは可愛いって云ってくれたけど、中也は云ってくれなかった。

(中也に褒めて欲しかった……)

　お世辞でも可愛いと云って欲しかった。中也がそんな事を云う性格じゃないのは、僕だって解っている。理解しているつもりだ。

　なんで僕はこんな乙女思考なんだ……。
　仕事上、恋なんてできない。許されるのかすらも判らない。
　いつだって僕は、見守る。

　治と中也が幸せに暮らせるのならば、なんでも善い。




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甘く出来てますか？
読み返して甘く出来てないことに気付いたので、茶屋のシーンから唐突に甘くしました。
今回は一言ですが、ナオミと谷崎も出してみました。(本当は出す気なかった……)
腕を組んでる人達ってこの二人しか分かりませんでした。

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