銀色の災いは炎の人に恋をする (ページ3)

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あの子ページ3

黒髪を束ねていると、ドガァン！とものすごい音がした。

『またあの子か…』

最初はとんでいって様子を見に行ったこの出来事も今では日常の一部。
部屋を出ると、マルコ兄様がやってきたところに遭遇した。

『マルコ兄様。またあの子がお父様に戦いを？』
「あァ。そんで、今日も海に落ちた」
『懲りない子ですね』

そういうとマルコ兄様は全くだ、と笑った。

14年前、懸賞金をかけられたくさんの大人に狙われるようになった私の前に差し出された大きなてのひら。

「おれの娘になれ」

と、その人は言ってくれた。私はワザワイをもたらします。と訴えたら笑い飛ばされて
そのワザワイごとおまえを愛そう、と言ってくれたのがお父様…“白ひげ海賊団”のエドワード・ニューゲート船長だった。

そんな白ひげ海賊団の船に先週乗り込んできた男の子…といっても私より二つ下くらいのそばかすが特徴的なその子はなかなかヤンチャな子で、お父様の首を狙っては惨敗していた。
一体これで何度目だ。

甲板に上げられたその子はぐったりしてる。
その体は傷だらけだ。お父様に吹っ飛ばされた時にできたんだろう。
にしても、よく見たら少し可愛い顔をしてる…

仕方ない、手当てしてやろう。
断じてあの顔をよく見て見たいわけじゃない。
…断じて。

私はわざとらしいため息をついてナースのお姉様のもとへ救急箱を取りに行った。